研究課題/領域番号 |
18K02011
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
中力 えり 和光大学, 現代人間学部, 教授 (50386520)
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研究分担者 |
定松 文 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 教授 (40282892)
中島 崇文 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (90386798)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 移住労働者 / 循環移民 / 国籍 / 家事労働 |
研究実績の概要 |
現地調査は、イタリアで実施する計画を立てていたが、新型コロナウィルス感染症の影響により、今年度も延期を余儀なくされた。 研究会は、ビデオ会議システムを使用して3回開催した。第1回研究会では、モルドヴァ出身の移住労働者の現状と特徴(移住先、滞在年数、移住目的、他国の国籍取得、等)やイタリアに居住するモルドヴァ人ディアスポラについて、またロシア正教会やルーマニア正教会の役割について、収集した資料を基に情報交換を行った。「市民権」と「国籍」という用語がどのように使い分けられているのかについても検討を行った。第2回研究会では、再生産領域の国際移動における大きな課題となっている、旧ソ連・共産圏における取り残された家族の問題について取り上げた。先行研究を分析し、親が国外に就労に行くことで残された子どもの養育は、本国において養育を任された大人次第であり、送金があることによって十分な教育を受けることができるという正の側面と、十分な仕送りがない・仕送りを養育・教育費に充てられないことによって不登校、家出、薬物中毒など負の側面があることがわかった。第3回研究会では、宮崎理枝教授(大月短期大学)を招き、近年のイタリアの社会政策、移民政策の特徴、また付属労働の変遷とコロナ禍の影響について専門的な知識の提供をしていただき、意見交換を行った。 その他にも、メールで適宜情報共有や意見交換を行うとともに、オンラインで開催された種々のセミナーやシンポジウムに積極的に参加した。研究分担者の中島が開催にかかわった「国際フォーラム『21世紀アジア太平洋時代の日米関係』」(2022年3月16日、於:学習院女子大学)では、21世紀における国を越えた人の移動について取り上げられ、ウクライナ情勢の影響で循環移民の状況も大きく変わる可能性があることが、ヨーロッパ内にとどまらず、東アジア、米国も視野に入れながら検討された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍が今年度も収束せず、予定していたイタリアでの現地調査を実施することができなかった。そのため、研究を遂行する上で必要な知見を十分に得ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
イタリアでの現地調査は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大の状況をみながら、実施の可能性について検討する。 コロナ禍が東欧の移住労働者にどのような影響をもたらしたのか、またウクライナ情勢により、これまで「送り出し国」であったモルドヴァが予期せず「受け入れ国」になったことで、循環移民の状況にどのような変化がもたらされるのか、文献・資料を収集するとともに、ビデオ会議システムを用いた研究会を開催して分析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響で国外での調査が実施できなかったため、旅費などの支出がなかった。次年度は、コロナ禍が収まったら現地調査を実施する予定である。
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