本研究においては、その成果として編著1冊と学術論文4本の執筆と12本の学会報告を行なった。これらの成果における分析の軸は、原子力関連施設の立地による財政効果が、持続可能性や公正性という課題を抱えながらも、いかにして当該立地自治体の社会に浸透していくのかを解明することにおかれた。原子力関連施設を受け入れた自治体が、新たな関連施設の受け入れを容認しやすくなるという現象は、原子力オアシス化として捉えることができる。北海道泊村を対象に、投票行動と財政状況の変動を合わせて分析した論文(湯浅2022)では、運転開始後概ね10年をかけて原子力オアシス化が進んだことを明らかにした。
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