研究課題/領域番号 |
18K02017
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
藤野 敦子 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (50387990)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 転勤 / 単身赴任 / 夫婦関係 / 少子化 / 日本的雇用 / 育児の孤独感 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本的雇用システムのうち、転勤(転居を伴う配置転換)やそれに伴う単身赴任が男女雇用のライフプラン(パートナーシップの形成や解消、家族形成)や女性雇用者のキャリア形成に与える影響を実証的に明らかにする目的で実施される。 当該年度は、2016年に民間正社員を夫に持つ既婚女性(30代・40代)3000人に実施したアンケート調査のデータを用いて、夫が転勤(家族帯同・単身赴任)を経験した場合に夫婦関係にどのような影響があるか、また持ちたい子供数にどのような影響があるかを分析した。その結果、夫の転勤で「単身赴任3年未満」の場合に、夫に転勤経験のないカップルに比べ、夫婦関係の満足度を下げていることが明らかとなった。また夫に転勤があり「家族帯同」の場合や夫の転勤により「5年以上の単身赴任」をしている場合には、夫の転勤経験のないカップルに比べ育児の孤独感を通じて間接的に当初の希望子供数を減らしていることがわかった。さらに結婚当初より正規就業で働き、夫に転勤経験のない既婚女性は、それ以外の女性に比べ、結婚当初の希望子供数を持つことができていることもわかった。すなわち、転勤がパートナーシップにネガティブな影響を与えたり、少子化の遠因になっていることが明らかになったと言える。この分析結果を11月1日~4日に台湾大学で実施された東アジア日本研究者協議会「第4回国際学術大会」で報告することができた。 また、2月に夫の仕事が理由で別居しているフランス人カップルに対し、インタビュー調査を実施し、カップルの関係性や育児について聞き取り、日本と異なる状況があるのかを考察することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンケート調査における量的データを用いて、分析を終え、11月1日~4日に台湾大学で実施された東アジア日本研究者協議会第4回国際学術大会で報告できた。また、フランスにおいて、仕事を理由に別居しているカップルに対して、その理由、夫婦関係などを聞き取るインタビュー調査を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当該年度実施したフランスでのインタビュー調査のサンプルを集めるとともに、同じインタビュー調査を日本においても実施し、比較分析を実施する。さらに転勤経験が働き方の満足度とどのような関係があるのか、既婚カップルについては結婚満足度とどのような関係があるのかをアンケート調査の量的データを用いて分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、フランスでのインタビュー調査の開始ということで、2名のみをピックアップし、インタビュー調査のプレ調査の意味合いもあった。次年度以降に再度質問事項等を調整しサンプルを増やすため、次年度に繰り越す。
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