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2021 年度 実施状況報告書

父親の育児休業をめぐる文化・実践・政策の相互作用の比較社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K02019
研究機関甲南大学

研究代表者

中里 英樹  甲南大学, 文学部, 教授 (10309031)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード育児休業 / 保育 / ドイツ / スウェーデン / 韓国 / 父親
研究実績の概要

日本における父親による取得率の低さや期間の短さの背景と今後の変化の可能性を分析し、必要な方策を検討するという本研究の目的に照らして、その研究活動は、(1)日本における夫婦の子育て・家事・就労に関する分担状況とその交渉過程についての実態調査と、(2)制度・実践・文化に関する諸外国との比較に大きく分かれる。それぞれの活動について、本年度実施した内容は以下の通りである。
(1)に関しては、新型コロナ感染拡大を受け、引き続き勤務形態が日本の通常の状況と大きく異なることから、育児休業を取得した父親のインタビュー実施は次年度に延期した。一方で、他の研究者と共同で過去に実施した母親のキャリア・保育と夫の家事育児に関する働きかけについてのインタビューを分析し、論文にまとめた。

(2)に関しては、次の2点について研究を進めた。
まず、これまでのスウェーデンやドイツの制度と比較を踏まえて明らかにした、父親の育児休業取得推進に関する日本の育児休業制度の課題を踏まえて、2014年までの改正とそれ以降を比較する形で、育児休業改正の審議プロセスを詳細に辿り、現在の制度上の課題が生じて背景について分析した。その結果は、2つの国際会議で報告した上で、国際学術雑誌に投稿し査読を受けている。
また、性別分業や長時間労働に関して日本と類似しており、育児休業制度についても基本的な仕組みが類似している韓国の研究者との間で、制度と父親の取得状況について比較研究を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2019年度までに予備的なインタビュー調査及び、政策分析は進めることができていたが、最終年度の2020年度に進める予定であった本調査は、新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、予定していたドイツにおける調査が実施できず、国内でのインタビューについても、勤務形態が通常の状況と大きく異なる中での育児休業の位置づけの判断が困難なため、2021年度も実施を見送り、2022年度中の調査実施を企図して補助期間の延長について承認を得た。
一方、新型コロナウィルス感染症拡大以前に実施した母親のキャリア調査の分析を進め、その後の変化について追加のインタビューを実施することができた。
また、制度に関しては、育児休業に関する法令の改正の審議プロセスを詳細に辿り、現在の制度が成立している背景について分析を進め口頭報告および論文投稿をすることができた。

今後の研究の推進方策

改めて日本とドイツにおけるインタビュー調査を設計し、育児休業の取得を含む、夫婦の子育て・家事・就労に関する分担状況とその交渉過程について、待機児童数などの特徴の異なる地域の3歳までの子どもを持つ男性・女性に対してインタビューを実施する。ドイツにおける調査については、夏に実施すべく、2019年調査で築いたつながりによってすでに対象者を探す協力の了承を得ている父親センター運営者の協力を得てインタビューと観察調査を進める。
さらに韓国の研究者と共同で、ここまでに得られた日本についての知見を韓国の状況と比較し、新たな角度から日本の課題を検討する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、予定していたドイツにおける調査が実施できず、国内でのインタビューについても、勤務形態が通常の状況と大きく異なる中での育児休業の位置づけの判断が困難なため、2021年度も実施を見送った。 次年度は、改めて日本とドイツにおけるインタビュー調査を設計し、育児休業の取得を含む、夫婦の子育て・家事・就労に関する分担状況とその交渉過程について、待機児童数などの特徴の異なる地域の3歳までの子どもを持つ男性・女性に対してインタビューを実施する。ドイツにおける調査については、夏に実施すべく、2019年調査で築いたつながりによってすでに対象者を探す協力の了承を得ている父親センター運営者の協力を得てインタビューと観察調査を進める。
上記の調査の旅費および調査謝金、インタビュー文字起こしの費用で残額を使用予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 出産後の女性のキャリア継続の諸要因 : 女性の就労環境,「保活」,夫の家事育児に注目して2022

    • 著者名/発表者名
      前田 正子、中里 英樹
    • 雑誌名

      心の危機と臨床の知

      巻: 23 ページ: 23~46

    • DOI

      10.14990/00004115

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Dimensions of Social Equality in Paid Parental Leave Policy Design: Comparing Australia and Japan2021

    • 著者名/発表者名
      Whitehouse Gillian、Nakazato Hideki
    • 雑誌名

      Social Inclusion

      巻: 9 ページ: 288~299

    • DOI

      10.17645/si.v9i2.3863

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Has ‘Nordic Turn’ in Japan Crystalised?: Politics of promoting parental leave uptake among fathers2021

    • 著者名/発表者名
      Hideki NAKAZATO
    • 学会等名
      Workshop for Special issue of the Journal of Family Studies in memory of Dr Michael Rush “The Politics of Fatherhood around the World”
    • 国際学会
  • [学会発表] Politics of Parental Leave Policies in Japan: Ideals and Realities in the reform to promote fathers’ take-up2021

    • 著者名/発表者名
      Hideki NAKAZATO
    • 学会等名
      18th Leave Policies and Research Annual Seminar
    • 国際学会
  • [図書] どうする日本の家族政策2021

    • 著者名/発表者名
      落合 恵美子編
    • 総ページ数
      314
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623092819

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公開日: 2022-12-28  

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