• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

「聞き上手」と相手への理解・共感の合理化

研究課題

研究課題/領域番号 18K02027
研究機関神戸大学

研究代表者

桶川 泰  神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (50585362)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードコミュニケーション能力 / 社会学 / 会話ハウトゥ本
研究実績の概要

社会学におけるコミュニケーション能力研究は3点に分けられる。1点目は、コミュニケーション能力が力説される現代日本社会の社会的背景を探る研究。2点目は、現代日本社会のコミュニケーション能力偏重性を問題化する研究。3点目は、コミュニケーション能力という表現が有する権力性・抑圧性を問題にする研究である。多様な研究が展開されているが、コミュニケーション能力は「伝達不可能なもの」「習得の仕方が不明なもの」と想定されている点、「コミュニケーション能力を身につけなければならないという言説に否定的である」点は多くの論者に共有されている。
一方本研究では、会話ハウトゥ本のような実践的にコミュニケーション能力を習得できるメディアに焦点を当て、その助言の時系列的な変容を考察した。その結果、2000年代以降では人から好感の持たれるコミュニケーション能力に関しては視覚可能なものになっていることを明らかにした。会話ハウトゥ本の中でも主に聞き上手話法に焦点を当てたが、聞き上手になることができない理由は1980年代までは主に「相手に接する際の動機づけ」(「相手を受けとめる気持ち」「相手に対する興味・関心・好奇心」「相手への気遣い」の有無)に求められていた。一方、2000年代以降においては「相手に接する際の動機づけ」の他にスキル的要因(好感の持てるオウム返し・オウム返し+一言のスキル)や話題を広げていくために必要な意識性も言及されるようになっている。言うならば、2000年代以降の会話ハウトゥ本では、自己の内部への技術的な働きかけの対象が拡大する(「相手に接する際の動機づけ」に加え、意識性が加わる)ことによって、好感の持てるコミュニケーションの仕方がより突き詰められ、より習得しやすいものになっている。

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi