研究課題/領域番号 |
18K02030
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
喜多 加実代 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30272743)
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研究分担者 |
石川 由香里 活水女子大学, 健康生活学部, 教授 (80280270)
杉原 名穂子 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (00251687)
中西 祐子 武蔵大学, 社会学部, 教授 (90282904)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 社会関係資本 / 社会的格差 / ジェンダー / 家族 / 教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、社会的格差の拡大、女性の貧困、家族形成の困難が指摘されるなか、社会関係資本がどのように、何に対して効果を有するかを、その獲得や恩恵の不平等に照準して検証しようとするものである。 従前にこの4名で東京・福岡・長崎で30~59歳の女性を対象にした計量調査と、SSJアーカイブのデータの分析によって、社会的に不利な層が社会関係資本にも乏しくなる傾向があることが確認できた。2020年度は、この同3地域で2019年度に実施したインタビュー調査について検討を行った。 離婚、未婚での子育てなどライフコースで生じた困難や、子どもの障害(の疑い)などは、家計や就労の面でも困難をもたらすとともに、それ以前に形成していた社会関係を維持しがたくする面がある。社会関係資本へのアクセス自体が困難になっている状況を、より詳細に考察する必要がある。他方、それらの困難に照準するようなネットワークが見つかってそれに参加したり、それまでは顧みられなかった社会関係からのサポートが得られたりする場合には、その人の支援になるだけでなく、社会的対応の改善をもたらす可能性も聞き取り事例からはうかがえた。 逆に、比較的階層が高く社会関係資本も豊かであった場合も、結婚や配偶者の転勤などの地域移動によりそれまでの地縁や子育てネットワークから切り離され、その点で社会関係資本が脆弱になる場合も散見された。他方、この調査の協力者の特性にもなるものの、そうしたなかで、新たな出会いの場が模索されており、それが調査協力者自身によってあるいは行政などによって提供され、地域の社会関係資本を豊かにしている場合がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍もあって研究会を延期した後、インタビュー内容の検討がまだ十分ではない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
ライフコースで生じた困難や、子どもの障害(の疑い)などによって、それまでの社会関係を維持しがたくする面や、社会関係資本へのアクセス自体が難しくなっている状況については、個別性も高い面があるが、それについてより詳細に考察し、社会関係資本の格差と効果を更に検討する。 他方、困難に照準するようなネットワークが、その人の支援だけでなく、社会的対応の改善をもたらす可能性や、地域移動などで新たに築かれた社会関係が、地域の子育て支援のネットワークを強化する場合がある。その効果や、社会関係資本醸成の条件なども更に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
3年目に研究会の開催や学会への参加を想定して旅費を多く設けていたが、昨年は移動が困難になり旅費を使用しなかった。また、逐語記録の反訳料金が当初の想定よりも安価であったことも理由である。
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