研究課題/領域番号 |
18K02031
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
安藤 由美 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (60232104)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ライフコース / 沖縄 / 沖縄戦 / 家族 / コーホート |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、住民の大半が沖縄戦による家族員喪失を経験した沖縄社会において、そうした集合的な経験が戦後の家族の発達、家族観の形成にどのような痕跡を残したかという問題の答えを探るために、沖縄戦で親と死別した人びとが戦後歩んだライフコースに関する質的面接調査を行い、家族キャリアの記述分析を行うことである。 調査研究の対象は、研究代表者が過去に実施したライフコース調査研究において標本となった、大正・昭和期コーホートの対象者の子どもたち(終戦前に出生)である。このような調査設計により、先行調査で得られている親のライフコース情報と、今回申請する調査で得られる子のそれとの相互連結を分析する、つまり世代間パネル分析を行うことがねらいである。 このような目的にそうべく、戦争による家族員喪失の経験の析出を行うための理論と方法の検討を主に行った。同時に、代表者が1994~97年に実施した調査の対象者の子ども世代のサンプルを確定するための選定作業を行い、追跡調査に着手した。しかしながら、選定した対象者が所在不明のためにコンタクトを取るに至らず、データ収集は未完に終わった。このため、追跡調査を主体とする本研究のデザインを大幅に変更するべく検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
代表者が1994~97年に実施した大規模調査の対象者の子ども世代の人々に対してインタビューを行うべく、研究目的に見合うような研究協力者を選定の上、数名を対象に郵送によるコンタクトを試みたが、いずれも未回収に終わり、データ収集は未完に終わった。ある程度の困難は予想していたが、結果的にコンタクト情報を更新していなかったことが、予定通りに調査が行えなかった理由である。
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今後の研究の推進方策 |
フィールドワークに関しては、過去の調査の追跡を行うことは断念することとし、調査対象者の選定を別の方法で行うことを検討する。具体的には、戦争体験の語り継ぎを積極的に行っている市民団体を通じて、あるいは、機縁的な方法で個人に調査協力を依頼することを考えている。同時に、理論面では、歴史的文脈や事件のインパクトの家族経験や個人の人生への影響を記述ならびに説明するための方法論をあらためて先行研究から整理するとともに、既存の二次資料を用いた分析を行うことを最終年度の目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は対象者の選定に失敗したため、目標としていたデータが収集できなかったので、インタビューデータのトランスクリプション作成の謝金の執行が行えなかった。これは次年度に充当する計画である。
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