研究課題/領域番号 |
18K02033
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
山本 薫子 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (70335777)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エスニック・マイノリティ / 大都市低所得地域 / バンクーバー / ジェントリフィケーション / 日系カナダ人 / 中国系カナダ人 / 社会運動 / 貧困 |
研究実績の概要 |
2019年9月8日~28日に、カナダ・バンクーバーの低所得地域であるDowntown Eastside(DTES)地区で地域調査を実施し、質的データ収集(インタビュー調査、参与観察調査、文書資料収集等)を行った。これは、前年の2018年に7ヶ月に渡って同地域で実施した調査のフォローアップ調査の位置づけであり、基本的には、2018年に訪問、インタビューした地域団体、活動家を再訪し、その後の状況を把握し、また資料収集を行った。 インタビュー調査、参与観察調査の主な調査内容は、(1)同地区および周辺で、日系、中国系、黒人(アフリカ系)のそれぞれのグループによる市民活動(特に人権擁護、生活支援、地域活性化、交流)の内容とその進展、(2)同地区における低所得層に関わる支援活動の内容と進展(特に住宅不足問題、ホームレスへの支援、薬物依存に関わる問題)、(3)行政やNPOなどによる地域活性化策の内容と進展、である。 また、資料収集調査を行い、DTES地区及びその周辺での、障がい者や薬物等の依存症者への医療福祉ケアの拡充、地価高騰・家賃高騰による住宅不足とジェントリフィケーション、行政によるホームレスの居住支援施策とその展開、について把握し、地域の社会状況の変化について確認した。 また、2018年に同地域で実施した現地調査のデータをまとめ、学会発表等を行った。 2020年3月に現地調査を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大による影響でカナダ渡航を見合わせ、現地調査実施をキャンセルした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年3月の現地調査はキャンセルせざるを得なかったが、2018年、2019年9月に実施した現地調査のデータを精査、分析することで当初計画していた課題は一定程度達成できていると考えている。2019年9月に実施した現地調査では、2018年の現地調査で把握した地域状況のその後について確認し、各移民コミュニティやマイノリティ集団のそれぞれの状況や変化に関する資料収集を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2020年度は、前年度までの現地調査等のデータ整理をし、連携(および対立、分断)によって地域のエスニック集団の関係性がいかに変容し、それが地域全体の社会関係や構造にどのように影響したか、分析する。9月に補足調査を行う予定である。また、行政施策、とりわけ都市計画との関連についても分析を行う。 以上の分析を踏まえ、研究結果のまとめを行う。成果は学会(日本社会学会等を予定)で報告するほか、報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月にバンクーバーで現地調査を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大による影響で、調査実施を断念し、渡航しなかったため、旅費として予定していた金額が残った。2020年度に現地調査を予定しているため、そのための旅費として使用することを計画している。
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