研究課題/領域番号 |
18K02034
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
阿久澤 麻理子 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 教授 (20305692)
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研究分担者 |
内田 龍史 関西大学, 社会学部, 教授 (60515394)
熊本 理抄 近畿大学, 人権問題研究所, 教授 (80351576)
妻木 進吾 龍谷大学, 経営学部, 准教授 (60514883)
出口 真紀子 上智大学, 外国語学部, 教授 (10593494)
BONDY Christophe 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (10634032)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 部落差別 / modern racism / 現代的差別 / 土地差別 / オンラインヘイトスピーチ |
研究実績の概要 |
本研究では、部落差別の現代的変容と共に「現代的差別(modern racism)」の影響を明らかにするため、①自治体による人権意識調査の再集計②ツイートの収集分析③大学生の 意識調査を実施した。自治体調査では、部落に対する忌避意識は、結婚において部落出身者(人)を忌避するより、土地(部落内の物件に住むこと)に対して、強く現れた。これは部落の所在地情報が、部落出身者の判定の手がかりにされることが背景にある。また「地価・財産価値が低い」といった自由回答もまとまっており、市場主義的価値観も忌避を強化している。Tweet分析では、クエリ語を決め、2018年11月から7か月、118,783ツイートを集めた。(a)当時報道されていた参院選立候補者による差別発言、(b)否定的・アウトロー的イメージ、(c)「田布施システム」〔いわゆる陰謀論〕、(d)「部落は単なる集落という意味に過ぎない」との書込みが多かった。「怖い、危険、犯罪が多い」といった、否定的・アウトロー的イメージ(古典的差別)が根強く、「特権・優遇」などをキーワードとする「現代的差別」は相対的に少なかった。大学生調査は、2021年4・5月に6大学の新入生を主な対象として実施した。部落差別を知っている1,109人に、部落のイメージをきくと、「所得が低い」「閉鎖的」などの「古典的差別」イメージが相対的に多く、「行政から優遇されている」などの「現代的差別」への支持は数パーセントであった。学校で得る知識は歴史が中心で、同和対策事業や、法・制度を学ぶことは少ないので、「現代的差別」に共感するほど知識がないからかもしれない。一方、「現代的差別」意識の強さは、差別解消のための教育やネット規制などの「公的介入」を嫌い、ネット上の誹謗中傷やバッシングを「仕方がない」と受け止め、自己責任を支持する態度と相関していることもわかった。
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