研究課題/領域番号 |
18K02035
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
中島 満大 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (70774438)
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研究分担者 |
中村 真理子 国立社会保障・人口問題研究所, 情報調査分析部, 研究員 (60800175)
加藤 彰彦 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (70287936)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域性 / 二次分析 / 地域類型 / 家族 / 村落 |
研究実績の概要 |
2020年度は,予定していた国立民族学博物館への資料調査を新型コロナウィルスの影響により断念せざるを得なかったため,新たに収集した資料からデータを作成するのではなく,既に入力が完了している集落サーベイデータの分析を実施した。 地域性調査の集落サーベイデータを利用した長島信弘らによる一次分析では,各指標を地図上にプロットすることを分析の中心に据えていた。加えて長島信弘たち以降の研究でも,各指標について都府県単位の割合を算出し分析を行っていた。これらの研究では,指標間の関連性について,複数の地図を並べることで間接的に考察していた。ただしこの分析法では,関連性の検証が地図が提起する印象に依存してしまうという弱点をもつ。 地域性に関する指標間の関連性を,2020年度はモザイクプロットと呼ばれる作図法を持ちいて検討した。そこから導き出された知見は,日本における社会組織の構成原理(同族組織,講組織,社会的親子関係,年齢組織)が互いに補完,もしくは排反(あるいは対抗)していたということであった。たとえば,西南日本においては,同族組織と年齢組織が互いに排反する関係にあり,年齢組織の原理が強い集落では同族組織の原理は弱くなっていた。また東北地方と関東地方では,同族組織が強く,それを補完する原理として,社会的親子関係(特に外部者と村内の者との間に結ばれる社会的親子関係)が働いていた。このように地域性における4つの社会構成原理の関連性を,2020年度はモザイクプロットで可視化し,今後の分析の土台を固めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は新型コロナウィルスの影響により,予定していた国立民族学博物館への資料調査を断念せざるを得なかった。そのため新たに資料からデータを作成するのではなく,既に入力を終えているデータの分析に注力した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は最終年度にあたるため,これまで入力してきたデータを分析するとともに,このプロジェクトで得られた知見を統合していく必要がある。 集落サーベイデータに関しては,昨年度,理論的な枠組みの検討とデータによる可視化を行うことができた。したがって,今年度は既に収集している一部のインテンシブ調査の活用方法を検討していく。量的な集落サーベイデータと,質的な要素を含むインテンシブ調査を統合し,報告書としてまとめていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は国立民族学博物館に訪問し,資料を閲覧・複写する予定であったが,新型コロナウィルスの影響により,東京から大阪への訪問を断念したため,資料調査にあてる予算が繰り越されている。 今年度も引き続き,移動が制限されることも予想される。そのため資料調査が難しい場合は,既に収集している資料をデジタル化する費用や研究発表の準備などに予算を使用する予定である。
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