研究課題/領域番号 |
18K02039
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
高橋 桂子 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (50311668)
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研究分担者 |
倉元 綾子 西南学院大学, 人間科学部, 教授 (20225254)
笠井 直美 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (20255243)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 父親の家事参加 / 大学生のmoney management / 家族からの経済社会化 / piggy bank / 金融ケイパビリティ |
研究実績の概要 |
2019年から2021年までは幼稚園・保育園の父親を対象としたアンケート調査を実施し、子のキャリア志向、子の非認知的能力に与える影響について重回帰分析による検討を行い、結果は、2023年3月にシンガポールで開催された国際学会で口頭発表を行った(Takahashi, Kuramoto, & Kasai, 2023)。 2021年から2022年は、東京と福岡の大学生を対象に、父親の家事参加が大学生たちのキャリア志向やオカネに関する知識情報獲得にどのような影響があるか、ヒアリング調査を行った。父親が家事参加をして、そこで家事についてだけでなく、何気ない会話を子と交わすことで将来のこと、オカネの管理のこと、友達付き合いのことなど多くのことを学んだ経験を持つ学生もいることが明らかになった。この関係は父親だけではなく、祖母、祖父にも確認された。マーク・グラノヴェッターが転職市場に関して提唱した「弱い紐帯の強み(The strength of week ties)」と類似した現象が、家庭内での家事活動にも確認された。東京でのインタビューケースについて、2023年5月に開催されたFamily Economics and Resource Management Association (FERMA、Web開催)で口頭発表を行った。 2023年度はヒアリング対象地域の拡大を狙い、値切り文化を持つ大阪府出身者、三方よし文化を持つ滋賀県出身者、または婚姻など見栄をはり豪華主義文化を持つ愛知県出身者などを対象としたインタビューを企画し、協力教員とのMTGを対面もしくはZOOMで重ねてきたが、実施の運びには至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、子どもたちのキャリア志向、非認知的スキルの獲得や経済社会認知について、幼稚園や小学校で実践研究を重ねた。具体的には、社会資源を父親から友達にかえて、幼稚園児を対象としたお店屋さんごっこ後の売上げの分け方について米国のpiggy bank(4つの仕切りあり)を用いた実践を複数回行った。また家庭科の時間を活用して、小学5・6年生を対象とした金融ケイパビリティ開発のための小遣い帳の検討などを、新たな研究活動にも着手した。これらのこともあり、こちらの研究課題へのエフォート率が低下してしまった。様々なタイプの研究を同時進行的に行うことで、家庭内だけの影響(家庭内構成主義)でなく、友達や学校の影響(社会的構成主義)によるものが大きいことを実感している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は「父親の家事参加が子のキャリア志向、非認知的スキルの修得に与える効果に関する研究」の総括の年となる。夏休みにミネソタ大学のエクステンションセンターでの貧困家族を対象とした様々なワークショップに参加し、研究を実践に落としこむ効果的な方法について学んでくる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は他経費による研究に注力したこともあり、本研究費による活用を十分に行うことができなかった。次年度、この経費を用いて夏期休暇にミネソタ大学のエクステンションセンターを訪問・滞在し、実際に様々な経済社会的背景とした家族、年齢を対象としたセミナーの在り方について学んでくる予定である。
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