研究実績の概要 |
2018年7月、カナダ・トロントでの国際社会学会で、原山哲が、フランス側研究協力者ともに参加し、ケアの脱家族化の調査研究による国際比較研究について検討した。それとともに、フランスの研究協力者、P. モッセの著書を邦訳し、日本の看護師からの関心と課題の理解が得られた。 さらに、2019年6月、パリ地域、東京を中心に、原山哲が、フランス側協力者とインタヴュー、および自由記述式質問票による調査を実施した。2020年度においては、これらの調査結果の質的分析を、日仏の研究協力者の共同によって実施することができた。フランス側研究協力者、P.モッセ(フランス労働経済研究所)、C. グルニエ(ベック・ビジネススクール)、M. ブーロンニュ=ガルサン(元パリ公立病院)、そして、日本側研究協力者、山下りえ子(東洋大学)、川崎つま子(東京医科歯科大学病院)とともに、フランス、日本でのケアのセミナーを開催することが出来た。 2021年度は、調査結果について、フランスと日本における高度実践看護師(infirmieres en pratique avancee)を加えて、セミナーだけでなく、フランス語、日本語のテキストの交換をとおして、より深化した分析の探索を試みた。フランス語のテキスト、および、それらの英訳のテキストは、研究成果の公表として、電子書籍の刊行となった(P. Mosse et al. Professional Space of Care, 2021)。さらに、日本語版の著書を刊行し、研究成果が、研究者だけに閉ざされることなく、ケアのプロフェッショナルに開かれることが出来た。 ケアは、家族の境界に閉ざされるのではなく、多様な行為主体に開かれるという課題の解明、すなわち研究目的が、フランスと日本の超高齢社会における国際比較の継続という研究実施計画をとおして、ほぼ達成されたと言えよう。
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