研究課題/領域番号 |
18K02043
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山北 輝裕 日本大学, 文理学部, 教授 (50579109)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ハウンジング・ファースト / 長期野宿者 |
研究実績の概要 |
①第70回関西社会学会(2019年6月2日、関西学院大学)において、「ハウジング・ファースト型支援の社会学的・質的調査」という標題で報告した。支援者がいかにしてハウジング・ファーストのフィデリティである無条件性を維持しているのかを考察しつつ、アパートに移行した当事者がハウジング・ファースト(の支援)をどのように捉えているのか、についても同時に明らかになった。②『理論と動態』12号(2019年11月8日、社会理論・動態研究所)に、「ハウジング・ファーストと新自由主義の共振をめぐる再検討」という標題の論文を投稿し、掲載された(査読つき)。③関西社会学会にて報告した内容を編集したうえで『フォーラム現代社会学』19号にハウジング・ファーストに関する論文を投稿し、掲載可の審査結果を得た(掲載は2020年予定)。④東京で、ハウジング・ファースト型の支援を受けた人々への聞き取りを継続した。⑤新型コロナウィルスの蔓延につき、欧州のハウンジング・ファースト支援団体への視察を当該年度は中止した。なお上記①から⑤はすべて当該研究の以下の3つの目的に対応している。(1)本研究は日本の野宿状態の人々に対する「ハウジング・ファースト」支援の効果について、当事者の方への質的調査を通して明らかにすることを目的とする。(2)ハウジング・ファーストの効果をめぐるエビデンスはおもにランダマイズ比較試験をもちいた量的調査が世界的に主流である。それに対して本研究は、当事者のライフヒストリーや、支援団体と出会うまでの経緯と現在のアパートでの地域生活の経験・困難をもとに、社会学的な質的調査から効果を明らかにすることが特徴である。(3)さらに海外のハウジング・ファースト実践を視察・比較しながら、日本に最も適合するハウジング・ファーストのあり方を提示する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
投稿論文・学会報告に関しては、調査対象者(野宿者支援団体のスタッフの方たちやハウンジグ・ファースト型支援を受けた方たち)のご協力を受けながら順調に進めることができた。ただし、欧州でハウジング・ファーストの支援実践を行う団体への視察に関しては新型コロナウィルスの蔓延につき中止せざるを得なかった。そのため、今年度に関しては本研究課題の進捗状況を「やや遅れている」と判断した。しかし、欧州のハウジング・ファーストに関する報告書や論文などの収集・検討などは引き続き行っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の進捗は、新型コロナウィルスの収束次第である。日本でもインタビューは対面で行わざるをえないため、当面はフィールドワークを中止せざるをえない。また欧州における事態収束も2020年4月段階では見通しができない。そのため、2020年度はこれまでの聞き取りで得られた語りの整理、投稿論文の用意、欧州の報告書・論文の検討などの作業を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
全世界における新型コロナウィルスの蔓延につき、欧州のハウジング・ファースト支援団体の視察を中止したため。次年度も新型コロナウィルスの収束を見極めたうえで、欧州視察の可否を検討する。
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