ハウジング・ファースト(HF)は長期野宿者がアパートへ直接移行することを支援する実践である。HFはしばしばネオリベラリズムとの共振をめぐって批判されている。本研究はこの両者の共振をめぐる批判をイデオロギー・統治性・政策の側面から再検討した。両者の共振点はホームレスゼロ・自己責任・コストカットであることが明らかとなった。そのうえで本研究は、HFが内包する革新的な論理にもとづき、その共振を回避し、社会運動として展開する可能性を、日本の野宿者運動の文脈に位置づけることで模索した。社会運動としてのHFの方向性の要諦は、<循環>・<対話>・<普遍化>の 3 点であることを指摘した。
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