都市の特定地域に貧困重層化が生じるプロセスについて、イギリスの都市ヨークに焦点をあて、19世紀前半にスラム地域が形成された背景、20世紀のスラム地域改善のプロセスや意義について都市社会学、歴史社会学的視点から分析した。 都市自治体が近世的市場を近代的市場に再編する過程で、諸矛盾が蓄積する地域が形成された。スラム改善は自治体の政策として進捗した。都市の基本的かつ根幹的機能である「市場交換、資本の合理的蓄積」が「諸矛盾の蓄積」要因であり、近代の「市場再編プロセス」が貧困地域を顕在化させ、スラム改善には「都市の資本蓄積過程」が「貧困発生の要因」という社会的認識・社会的合意の形成を必要とした。
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