研究課題/領域番号 |
18K02052
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
金 友子 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (20516421)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 在日朝鮮人 / 在日韓国人 / 移民二世 / 民族主義 / 祖国志向 / ディアスポラ |
研究実績の概要 |
当初の計画では、新型コロナウィルスの状況をみて、調査対象者へのインタビューを再開するとしていたが、状況が好転したとは言えず、1名のインタビューを行った。このインタビューからは、1960年代当時の各地方ごとの組織内部の雰囲気、人間関係、他団体との関係の捉え方、運動課題の設定の仕方の違いなどが明らかになり、有益であった。運動方針について、今後、再度同人物にインタビューする予定である。 これまでの蓄積をもとに、1960年代の日韓条約反対闘争についての論文を執筆した。日本で生まれた在日朝鮮人二世の世代は、祖国の民主化運動への連帯とともに、日本に居住しているという「特殊性」から、居住国での権利擁護・伸長という課題も抱えていた。とりわけ二世以降の若者にとって、日韓条約で案として挙がっていた在留資格は不安定であり、未来を左右する事案であった。この問題に対して対象団体は、1963年頃から法的地位に関する学習を始め、64年以降、民団や青年団体とともに永住権を求めて「法的地位要求貫徹運動」を展開していった。論文ではそのプロセスを記述した。類似の対象を扱う他の研究グループとの研究会を実施し、このトピックで発表を行ない、研究の方向性や事実確認が必要な部分等、重要な指摘を得ることができた。議論を踏まえて論文化して学会誌に投稿した。 理論研究について、昨年に引き続き現代的人種主義および複合的な差別について関連の文献を調査し、マイノリティ集団に属する個人に与える差別の影響を探った。また、申請者が参加している他の調査プロジェクト(在日朝鮮人女性の生きづらさについての調査)から、差別の個別的な経験について重要な知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの状況に鑑み、リモートや文書(メール)でのインタビューを追求するとしたが、内容の性質上あまりよくないと思われたため実施しなかった。インタビューではなく資料に重点を置いた分析・記述を追求してきたが、やはり限界があった。インタビューの実施は引き続き困難であることが予想されるが、可能性をなるべく追求する。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの状況をみて、調査対象者へのインタビューを再開する。 新たに譲渡をうけた資料があるので、それらの精読、分析を行う。 これまでの成果を論文にして関連研究会および学会で発表し、論文化して公刊する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で調査旅行ができなかった。また、日本国内・海外での学会がオンラインで実施されるようになり、旅費をほとんど使用しなかった。状況が改善次第、インタビュー調査等に使用する。状況が改善しない場合、資料購入費および資料保管用資材等に使用する。
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