研究課題/領域番号 |
18K02055
|
研究機関 | 神戸女学院大学 |
研究代表者 |
横田 恵子 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (50316022)
|
研究分担者 |
山田 富秋 松山大学, 人文学部, 教授 (30166722)
大北 全俊 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70437325)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 社会学的に採取された語りへの文芸評論的アプローチ / ナラティブ・メディスン / オーラリティと歴史・記憶 |
研究実績の概要 |
本プロジェクトでは研究期間前半(2018年度、19年度)に、「すでに公開済みの研究に使われたインタビューログ(=HIV感染症にかかわった医師たちの語り)」を、当時の状況を具体的に知らない読み手たちにゆだねて再解釈を行う試みを行い、その実際を逐語録化している。本年度は、この逐語録を元に、代表・研究分担者合同でメタレベルでの再解釈を行った。 一方、上記の再解釈作業の過程で、研究計画では予定していなかった資料を新たに入手するに至った。1990年代に数年に渡って発行され、HIV医療や社会運動にかかわる人々の間で個人的に流通していたセミフォーマルな未製本のHIV/ AIDS感染をテーマとする個人発行のミニコミ誌80余通である。研究を進める過程で偶然、全巻入手の運びとなった。本資料については、研究分担者の協力に加え、科学史研究者の協力も得て、歴史社会学的手続きも意識しつつ、分析・解釈を行っている。 さらに今年度は、研究期間中に渉猟・入手した各種領域の先行研究や関連文献に基づいて、「社会学的な記述と文学的想像力の混淆の可能性」について、整理する作業に着手した。本研究の着想の一助ともなったリタ・シャロンが提唱する「ナラティブ・メディスン」が、最終的には語りや対話を「セラピーとしての物語(物語を共感の道具とすること)」に落とし込んでしまう危惧を含むことを踏まえ、さらにHIV感染症が発顕して以降、文学が疫病(特に感染症)を主題にしなくなったことを対置しつつ(福島亮太,2022)、総合的な知見にまとめることを目指す。
|