研究課題/領域番号 |
18K02055
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
|
研究機関 | 神戸女学院大学 |
研究代表者 |
横田 恵子 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (50316022)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | ナラティブ・メディスン / 社会学的記述への文学批評の適用 / 医師の語り(HIV感染症) |
研究成果の概要 |
本研究は、公開済みの「1990年代にHIV感染症治療を経験した医師たちのインタビュー記録集」を、社会学的な記録として示すだけで良いのか、という問いから始まった。対話的構築主義に依った本インタビュー集は、相互の発話を出来るだけ加工せず記述することを主眼とするため、採話側の解釈・解説に基づく編集は行っていない。編集しないままの記録集は、変化する社会意識の下、時間と共にテキストレベルでの意味すらくみ取れなくなる恐れもある。本研究では、採録当時の状況を具体的に知らない読み手にインタビュー記録をゆだねて再解釈を試みたと同時に、社会学的記述の解釈における「文学的想像力の混淆の可能性」についても考察した。
|
自由記述の分野 |
医療/福祉社会学
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の着想の一端は、リタ・シャロンが提唱する「ナラティブ・メディスン」にあるが、語りを「最終的にはセラピーとしての物語(物語を共感の道具とすること)」に落とし込んでしまうシャロンらの手法には批判的な立場を取る。本研究では、文学研究領域でのテキスト批評の視点を加味することで、社会学的インタビューの逐語的テキストであっても読み手の自由で多様な解釈が促され、それが社会問題の理解刷新を後押しする可能性を示した。さらにHIV感染症以降、文学が疫病(特に感染症)を主題にしなくなった一方で、病の社会学的語りの記述が文学的エクリチュールに近づいている近年の傾向を対置しつつ、総合的な見取り図作成を試みた。
|