| 研究課題/領域番号 |
18K02056
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| 研究機関 | 九州保健福祉大学 |
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研究代表者 |
加藤 謙介 九州保健福祉大学, 臨床心理学部, 准教授 (30423099)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 減災 / 人とペットの災害対策 / インクルージョン（包摂） / コラボレーション（連携） / コミュニケーション（対話） / インフォメーション（情報） / 平成28年熊本地震 / 令和2年7月豪雨 |
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| 研究実績の概要 |
令和3年度は、大きく以下の3点に関して研究を進めた。
第1に、平成28年熊本地震被災地では、益城町をフィールドに「人とペットの減災」の縦断的研究を継続した。特に、復興格差が進み「支え合うコミュニティ」が縮退する中、被災者個々人のことばを「待つ」コミュニティの意義について理論的考察を進めた。これらの知見の一部は、日本グループ・ダイナミックス学会第67回大会ワークショップ「現代的文脈におけるアクションリサーチの姿勢」及び日本災害復興学会大会2021分科会「尊厳を失わない災害復興へ」で報告した。
第2に、「人とペットの災害対策」に関して、過去35年の災害事例を踏まえ「包摂」「連携」「対話」「情報」のキーワードから理論的検討を深めるとともに、「同行避難」「同伴避難」「分散避難」の課題の考察を進めた。前者については、「自然災害科学」誌に展望論文として投稿し、現在審査中である。「同伴避難」の類型に関して、日本グループ・ダイナミックス学会第67回大会で報告した（加藤, 2021）。
第3に、これまでの知見を地域防災の実践に還元する試みを進めた。具体的には、申請者が居住する宮崎県延岡市の行政と連携し、市の公式ウェブサイト上に「ペット防災」の講演動画を公開（https://www.city.nobeoka.miyazaki.jp/site/disaster/3353.html）するとともに、行政職員の防災研修等に協力した。また、NPO法人「ペット防災サポート協会」の監事として、一般飼い主向けのペット防災手帳「たすかるノート with PET」の企画・製作に携わり、防災ツールを用いた「人とペットの災害対策」の普及・啓発を行った。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、平成28年熊本地震をはじめとする被災地コミュニティでの「人とペットの減災」の検討を目的としている。これまでの取り組みを通して、被災者・現地支援者等と信頼関係を構築し、フィールドワーク・インタビュー等の調査を進めてきた。熊本地震及び令和2年7月豪雨被災地でのフィールドワーク・協働的実践から、これまでに様々な理論的・実践的な知見を得ることができた。
しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い、調査地（熊本県）および筆者の居住地（宮崎県）でも頻繁に感染拡大が起き、調査の遂行が極めて困難な状況が続いている。2021年度は、感染症対策に万全を期しながら現地への訪問・調査を試みたが、頻回・継続的な訪問による研究は、依然として難しい事態となっている。
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| 今後の研究の推進方策 |
令和4年5月時点でも、国内でのコロナ禍の影響は続いており、研究遂行に際しては、感染症対策が最優先事項となる状況に変わりはない。このため、令和4年度も研究遂行に困難な状況が頻発することが予想されるが、以下の3点から研究推進を試みる。
（1）平成28年熊本地震・令和2年7月豪雨被災地で関係を築いた被災者・現地支援者との交流を可能な範囲で継続し、長期にわたる「人とペットの減災」の展開過程の特徴、および復興に向けたコミュニティの動態について知見を得ることを試みる。
（2）これまでの研究結果を踏まえ、「人とペットの災害対策」に関する理論的観点を陶冶する。特に「インクルージョン（包摂）」「コラボレーション（連携）」「コミュニケーション（対話）」「インフォメーション（情報）」の4つのキーワードをもとに、ペット飼育の有無にかかわらず「災害時に誰もが助かる社会」の構想を試みる。
（3）令和3年度に開発した一般飼い主向け防災手帳「たすかるノート with PET」等を活用し、ペット－飼い主－非飼い主－専門家らのコミュニケーションを促し、これまでの研究成果の地域防災実践への還元を試みる。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
先に述べたように、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い、調査地（熊本県）および筆者の居住地（宮崎県）でも頻繁に感染拡大が起き、調査の遂行が極めて困難な状況が続いている。
令和4年度は感染症対策に細心の注意を払いながら、（1）平成28年熊本地震・令和2年7月豪雨被災地でのフィールド調査、（2）「人とペットの災害対策」に関する理論的観点の陶冶、（3）「たすかるノート with PET」等の防災ツールを活用した「人とペットの地域防災」の実践、の3点を進める。その中で、「旅費」「学術論文投稿費」「印刷製本費」「文献購入費」等で、計画的に予算執行を進められるよう努める。
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