【令和4年度の成果】 【1】学術論文・学会発表:(1)過去35年間の災害事例の記録・報告に基づき、「人とペットの災害対策」の課題と展望を「包摂」「連携」「対話」「情報」の観点から検討した展望論文が、「自然災害科学」41巻3号に掲載された。(2)令和4年台風14号時の宮崎県延岡市での人とペットの避難事例について、「ヒトと動物の関係学会」第29回学術大会で報告した。 【2】フィールドワーク:(1)熊本地震被災地では、復興格差による被災者-ペットの生活課題の個別化が進んだが、地域コミュニティによる互助が有効な支えとなった。(2)令和2年7月豪雨被災地では、人とペットの分散避難・同行避難場面でも、地域コミュニティでの互助が有効であった事例が見出された。 【3】研究成果の社会への還元:(1)NPO法人ペット防災サポート協会と協働し、「ペット防災」に関わるオンライン勉強会を継続し、「ぼうさいこくたい2022」に出展した。(2)宮崎県延岡市行政と協働し、市民向けのペット防災講演会、パネル展示を行った。(3)みやざき動物愛護センターと協働し、市民向けのペット防災講演会を行った。 【研究期間全体の成果】熊本地震及び令和2年7月豪雨被災地での長期の研究・実践を踏まえ、人とペットの減災の課題として、発災直後の「人とペットの3つの避難」(同行避難/同伴避難/分散避難)だけでなく、仮設団地での人とペットのコミュニティ構築、災害公営住宅等での人とペットの復興支援等、多様な問題が生じた。このため、人とペットの減災を目指すコミュニティ支援として、ペット飼育の有無に関わらず誰も排除されない「インクルージョン(包摂)」を掲げるコミュニティ構築、多様な主体間の「コラボレーション(連携)」と「コミュニケーション(対話)」に基づく「インフォメーション(情報)」生成の必要性が見出された。
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