研究課題/領域番号 |
18K02057
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研究機関 | 大月短期大学 |
研究代表者 |
宮崎 理枝 大月短期大学, 経済科, 教授(移行) (20435283)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 介護労働 / 移民政策 / 介護政策 / バウチャー労働 / イタリア / 日本 / ケアの市場化 |
研究実績の概要 |
2020年度はCovid-19のパンデミックの影響を多大に受けた。このため、新たな実地調査を行うことができなかった。他方、研究手法を文献考査に置換したり、これまでの調査内容を分析、精査した。2020年度の主要研究実績としては、以下3点がある。1)2月に宮崎理枝「8章イタリア家事労働領域のデュアリズム」、216-237頁、伊藤るり編『家事労働の国際社会学』人文書院において、イタリアにおいて主たる介護供給を行っている外国人家事労働者の労働環境の改善のための権利獲得運動が、どのように行われたのか、またその集大成ともいえるILO の家事労働者条約(189号)の条約批准がどのように達成されたのか、そしてそれにもかかわらず、なぜ今日の外国人家事労働においては、半数以上が無申告労働となっているのかを議論した。2)3月には、宮崎理枝「論壇ー超高齢社会における外国人ケア労働者モデル:日本とイタリアの比較から」『週刊社会保障』74(3065)48-53頁で、一昨年に発表した欧文論文を簡略的に論じた上で、2017年以降の日本の外国人介護労働者に対する受け入れ制度の位置づけについて考察した。3)また11月に宮崎理枝「イタリアの付属労働(lavoro accessorio)制度の創設と廃止、そして後続制度:ケア労働への利用に着目して」『大原社会問題研究所雑誌』(745)31-49頁 (査読付き論文)を発表した。ここではイタリアにおけるバウチャー労働制度が、いかなる制度改革を経て、廃止され、また直後に後続制度が創設され行ったのか、またそのなかでのケア労働に対する使用が、実際には、家事労働領域にもまして、福祉領域において特に頻度が高かった事実を明らかにした。また、イタリアのバウチャー労働の制度改正の意義について批判的に議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19のパンデミックにより、国内外の移動と調査の実施が困難となり、2019年度末に計画していたイタリアにおける現地調査や、2020年度の夏季の国内の調査を見送ったため。
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今後の研究の推進方策 |
本来は、本年度は研究最終年度であり、特に年度下半期においては研究の総括を行う予定であった。しかしながら、2020年1月ごろから、主たる研究対象地域であるイタリア北部でCovid-19のパンデミックが発生したことから、当初の研究計画の遂行が困難となった。 現時点では、対人調査を行うことに引き続き困難も予見されるため、実地調査を簡易的なリモート調査、あるいは文献調査に調査方法を置換することを考慮に入れている。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19による国内外の移動の制限と実地調査の不履行による。 以前として状況が不透明であるので、簡易的なオンラインでの聞き取り調査か、あるいは文献調査に置換することを考慮している。
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