研究課題/領域番号 |
18K02058
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
岩佐 有華 (秦有華) 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90609132)
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研究分担者 |
齋藤 智子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00300096) [辞退]
富山 智香子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80359702)
西方 真弓 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90405051)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 原発事故被災者 |
研究実績の概要 |
原発災害被災者健康支援のために年2回開催している健康相談会は、新型コロナウィルス感染症のため今年度も開催できなかった。そのため、過去の健康相談会から得られた被災者の身体計測データから、発災から応急仮設住宅での避難後に復興公営住宅に転居した住民の筋肉率・上肢筋力・下肢筋力の経年変化の実態を明らかにすることを目的に分析を行った。 2017年9月~2019年3月に開催した相談会参加者のうち欠損データが多い参加者を削除した延べ109名を分析対象とし、データ収集期間を1~5期に区分して分析を行った。1期(2017年9月)の対象者の筋肉率、脂肪率、Body Mass Index(以下、BMI)、左右握力、開眼片足立時間といった身体計測値を2期(2018年3月)、3期(2018年9月)、4期(2019年3月)、5期(2019年9月)のそれぞれと比較した。分析は、1期と2期、1期と3期、1期と4期、1期と5期を比較するため、それぞれのF値を確認後、2つの母平均の差の検定を行った。分析は男性と女性を分けて行った。解析には統計解析ソフトIBM SPSS Statistics ver.22.0 for Windowsを用い、有意水準1%未満とした。 対象者の概要は、男性27名、女性82名であった。性別とその他の概要(年代、家屋損壊状況、発災前居住地区の現在の避難指示状況、現在の同居者の有無、就労状況、外出頻度)をχ2検定を用いて分析した結果、有意な差はみられなかった。男性の1期と2~5期の身体計測値を比較した結果、1期の筋肉率は2~5期の脂肪率より有意に高値(p<0.001)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、被災から10年に渡り避難生活を続けている壮年期男性の睡眠及びストレスについて活動計や唾液測定によるストレス測定を用いて実施する予定であった。しかし、COVID 19による自粛が活動やストレスに及ぼす影響が大きいため、量的なデータでは被災によるものと判別することが困難であると判断し、インタビューによる語りをいった質的なデータの収集と分析を主軸とすることとした。しかし、県外移動制限のため対面でのインタビューを行えず、オンラインでの非対面面接も検討したものの、対象者から同意が得られなかったため、新たな質的データ収集は行えなかったためである。またデータ収集でのウェアラブル端末活用を模索したものの、ウェアラブル端末とペアリングするスマートフォンが必須であることやアプリ設定の煩雑さなどから対象者への適応には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は感染対策(ワクチン接種、インタービュー前後の抗原又はPCR検査、空気清浄器を用いたインタービュー場所の換気など)を厳重に行ったうえでインタビューを実施する。また、対面でのインタビューが難しい場合には、電話を用いてのインタビューとも検討する。 インタビューデータをテキストマイニングソフトを用いて分析を行い、睡眠。活動・ストレスデータとの関連をみる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、COVID 19の影響によりデータ収集が行えなかったこと、学術集会がオンラインとなったため交通費が不要であったことによるものある。 次年度の使用計画は、旅費(研究成果発表、データ収集のための現地訪問)、人件費(謝金、翻訳費)、物品費(インタビュー場所の空気清浄機、データ分析ソフト、ノートPC)、その他(新型コロナウィルス抗原検査キット、PCR検査代金)に使用する予定である。
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