研究課題/領域番号 |
18K02061
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
深井 英喜 三重大学, 人文学部, 教授 (10378276)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | イギリス福祉国家 / 脱工業化 / グローバル化 |
研究実績の概要 |
本年度は、一昨年の継続で1990年代以降のイギリスの労働市場の構造変化に関する先行研究のまとめを作成することから始めた。そしてそれを踏まえて、労働市場の構造変化による貧困問題の諸相の変化についての調査・考察を進める予定であった。 しかし、2019年度は、妻の出産があったことや、父の重度の介護(今年4月に死去)があり、教務や管理の大学の職務をこなすだけで精一杯であったため、本研究をほとんど進めることができなかった。 また、年度末にかけて新型コロナ・ウィルスの影響が出てきたため、予定していたイギリスでの調査も諦めざるを得なかった。これらの要因から、本年度はほとんど進めることができなかったため、2020年度にむけて研究計画の見直しを検討している。特に、新型コロナ・ウィルスの影響で、2020年度もイギリスに調査等で出張することは困難だと思われ、この点が研究計画を見直す上で重要な要素となっている。 当面は、Robert Rowthorn氏の議論の検証を進める予定である。一般に、イギリス福祉国家が大きく変容したきっかけの一つとして、脱工業化によるイギリス産業構造の変化と、グローバル化による市場競争圧力の高まりが指摘されている。つまりこの一般的な議論においては、福祉国家政策の転換は社会経済構造の変化への対応と理解されている。これに対してRowthorn氏は、脱工業化やグローバル化の影響に加えて、サプライサイドの政策に舵を切った経済政策や福祉国家政策の影響に着目している点が特徴である。Rowthorn氏の研究は経済理論の分野での研究であり、新型コロナ・ウィルスの影響で渡英がほぼ望めない現状に鑑みて、氏の理論の成果を実証的に示すことができるかを試みることから、来年度は始めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度は、秋に妻が出産しました。その関係で、出産の前後は妻の出産および育児を支援する必要があった。また同時期に, 父が癌の手術をし、術後、介護が重度化した。結局父は今年4月に死亡したが、それまでは母による父の介護を支援する必要があった。 以上から、今年度は教務と大学管理の業務をこなすだけで精一杯になり、本研究にほとんど従事できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
上記の家族の事情は少しずつ解消されてきているが、一方で新型コロナ・ウィルスの影響で予定していたイギリス出張が不可能になったと考えるのが妥当な状態である。イギリスでの現地調査を研究予定から外した研究計画に切り替える必要を感じている。 当面は、先行研究のRobert Rowthorn氏の理論研究の検証を進め、それを踏まえて研究計画の方向性を検討することを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
家族の事情で研究を進めることができなかったことと、新型コロナ・ウィルスの影響によるイギリス出張の中止が原因である。 来年度にイギリス出張が可能になれば、予定通りイギリス出張に予算を用いるが、それが不可能である場合は、研究計画の見直しに合わせて、統計資料や文献資料の整備に充当していく予定である。
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