研究期間開始後すぐにCovid-19の影響を受けたため、残念ながら当初の予定していたイギリスでのヒアリング等は実施できず、文献資料による研究になってしまった。文献資料を整理する中で、イギリスの社会的排除問題を議論するには、次の2点が重要であることがわかった。第一に、社会的排除の要因の背後には、イギリス経済の脱工業化とグローバル化・金融化という社会経済構造の変化があること。第二に、こうした社会構造の変化が個人に影響を及ぼす上で、地域・コミュニティの機能の変化が大きな要素となっていると思われること。特に後者は、日本の研究動向の中でこれまであまり扱われてこなかった点であり、今後の研究課題としたい。
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