研究課題/領域番号 |
18K02063
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
西島 文香 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (70432812)
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研究分担者 |
飯國 芳明 高知大学, 教育研究部総合科学系黒潮圏科学部門, 教授 (40184337)
深山 誠也 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (50756682)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 単身後期高齢者 / 中山間地 / 食品摂取多様性 / 要因分析 / 地理的条件 / 老研式活動能力 / 社会関係資本 |
研究実績の概要 |
調査対象地域における地域福祉活動について考察した「中山間地域の生活支援ニーズと地域福祉活動の特徴-高知県いの町吾北地区を事例に」(共著、筆頭著者:中村努)が査読を経て、『E-JournalGEO』に掲載された。 また2021年度は調査対象者(75歳以上の独居高齢者)の低栄養状態(食品摂取多様性得点4点未満、以下DVS低位群)の説明変数としてこれまで分析してきた日常的な生活・活動状況、老研式活動能力指標、ソーシャルキャピタル指標などに加え、新たに指標を導入して分析を行った。 具体的には、調査協力機関(いの町社会福祉協議会)の承諾・協力を得て、調査対象世帯の住所地を入手し、地理的条件(居住地の標高、主要道からの距離)をGISを用いてデータ化した。 分析方法は以下の通りである。まず、データの概要を確認するために、各説明変数の選択肢の母集団間の分布についてU検定を行った。さらに、DVS低位群が発現する確率についてプロビット分析を行い、多変量解析のための要因抽出を行った。 分析結果は以下のとおりである。まず、集落の高齢化や社会関係資本、新たに追加した地理的指標のいくつかが統計的に有意な指標であることが確認できた。さらに、それら各変数間の関係を分析し、DVS低位群の存在を規定する条件などの特定ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年3月末に調査研究で中心的な役割を果たした研究協力者が転出した。 2020年度は調査対象者の食品摂取多様性を被説明変数とする分析方針を確認し、対象者の居住地の地理的条件などを新たに説明変数に加えることを目標にしていた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大などの影響を受け、新たなデータを得るために調査地に出向き、協力を得ることが困難となった。 2021年度については、2020年3月末にこれまで統計処理やデータ分析を担っていた研究分担者の1名が転出し、調査研究のための研究会や分析のための打ち合わせなどが十分にできない状態が続いていた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度におこなった地理的条件を指標に加えた分析の結果を論文にして公表する。 また、調査対象地域における食料品店の位置情報を説明変数に加えた分析を進め、地域における「フードデザート」と低DVS群の出現との相関を検証する。 さらに、地域内で大きな役割を果たしている移動販売車の運行ルートや頻度などについて補足調査を実施し、可能な限りデータ化し、中山間地における課題の抽出に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
まず、昨年度実施した地理的分析の補足調査が必要である。特に、調査対象地域における移動販売事業の実態などについての聞きとり調査を計画している。 さらに、2017年度に実施した調査の追跡調査(5年後)を計画している。その調査研究の準備として、文献研究や資料収集、調査協力機関との打ち合わせなどを行う必要がある。
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