研究課題/領域番号 |
18K02064
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小山 明日香 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (50710670)
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研究分担者 |
橋本 衛 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (20452881)
藤瀬 昇 熊本大学, 保健センター, 教授 (20305014)
松下 正輝 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任助教 (30615935)
池田 学 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60284395)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 認知症 / 介護負担 / 軽度認知障害 |
研究実績の概要 |
認知症介護者の介護負担感には、多くの介護者に共通する負担感と、個々の介護者のおかれた状況や介護者の特性等によって受け止め方に差がある負担感がある。仮に患者の認知機能やBPSDの程度が一定であったとしても、介護者の負担感には差がある。本研究では、認知症の介護負担感のなかで、どの介護者にもおおむね共通する要素と、個々の介護者によって程度が異なる要素を明らかにした。 対象は熊本大学医学部附属病院認知症専門外来を受診した認知症・軽度認知障害の患者301名とその家族である。認知機能、ADL, 認知症の行動・心理症状(BPSD)等から予測される介護負担感(J-ZBI)よりもJ-ZBI得点が高い上位25%を高負担群、低い25%を低負担群として、その中間を中負担群とし、3群間でJ-ZBIの下位項目得点を比較した。 その結果、「介護のために自分の時間が十分にとれない(η2=0.34)」「思い通りの生活ができない(η2=0.32) 」などで群間差が大きく、「将来どうなるのか不安(η2=0.10)」「患者さんはあなただけが頼り(η2=0.10)」では差が小さかった。介護者が子の場合、「家事や仕事もありストレスだ」「介護のために自分の時間が十分にとれない」などの項目で差が大きく、介護者が配偶者の場合、「介護のために体調を崩したと思ったことがある」で差が大きかった。 介護負担感を強く感じている介護者は、特に時間的制約に関して強い負担を感じており、特に介護者が子である場合その傾向が顕著であった。仕事や育児等と介護の両立、複数の者の介護など、時間的な余裕がない状態で介護を行っている人に対する積極的な支援が必要である。一方で、患者から頼られているという負担感や患者の将来への不安は介護者におおよそ共通してみられるものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度中に分析し学会発表を行うことができた。おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究成果をもとに、残りの2年間で、認知症介護者の希死念慮に関する研究、および介護に対する肯定的意味付けに関する分析・検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は次年度以降よりも多めに予算を計上していたが、今年度予定していた研究の一部を次年度に行うこととしたため、一部次年度使用額が生じた。
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