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2020 年度 実施状況報告書

障害児者にとっての避難所、福祉避難所問題―東日本大震災を事例に―

研究課題

研究課題/領域番号 18K02067
研究機関東京都立大学

研究代表者

中川 薫  東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (00305426)

研究分担者 山本 美智代  東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (00269515)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード東日本大震災 / 福島県 / 障害児者 / 福祉避難所 / 避難
研究実績の概要

インターネットを通じて、東日本大震災における福島県の障害児者の被災に関わる資料を収集した。収集した資料の中から、福島県の障害児者の避難状況、福祉避難所に関するものをピックアップし、質的に分析した。
資料分析の結果、以下のような、障害児者の避難状況、福祉避難所の開設状況が示された。全体的には福島の障害児者の避難状況は「見えてこない」という特徴がうかがえた。
福島県では福祉基盤が弱く、在宅サービスを受給しながら地域生活を送る障害児者は多くはなかった。震災前、県で福祉避難所は37か所事前指定されていたが、場所は誰も知らず、震災時に1か所も開かれることはなかった。したがって福祉避難所は機能していなかったと考えられる。南相馬市における調査によると、7割の障害児者は一般の避難所に避難したが、避難所の環境、周囲との関係の困難から居続けることはできず、避難所を転々とすることになり、移動するたびに症状が悪化して生命の危険にさらされた。その後は、多くの人が自宅に戻ったが、足取りが不明な人もいた。いずれにしても避難所から出ると、物資や情報など支援の手が届きづらくなった。また重度の障害のある人は最初から避難しようとしない、あるいは避難できなかった。福島では、ガス、水道、電気などのライフラインの断絶に加え、被曝を恐れた物流関係者が福島に入ることを拒否し、一時的に物流が途絶えるという非常事態が発生したため、自宅での生活は物資が不足し、過酷な状況に置かれた。そして震災後も、介護スタッフが福島に戻らずに、介護スタッフの不足が問題となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルス感染蔓延の影響を受け、東北地方の震災文庫に訪問することができなくなったため、データが十分に集まらなかった。

今後の研究の推進方策

いまだに新型コロナウィルスの感染蔓延が続きそうであり、東北地方への訪問は難しいかもしれないが、可能な限りのデータを収集し、東日本大震災の被災3県における障害児者の避難状況、福祉避難所の検証を行いたい。これまでは1県ごとの検討であったので、最終年度は、3県を比較検討しながら、分析をまとめていきたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの感染蔓延のため、予定していた出張ができなかったこと、学会もオンライン開催になったが、都合が合わず、出席できなかったため。

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公開日: 2021-12-27  

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