研究課題/領域番号 |
18K02068
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研究機関 | 新潟県立看護大学 |
研究代表者 |
徐 淑子 新潟県立看護大学, 看護学部, 講師 (40304430)
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研究分担者 |
池田 光穂 大阪大学, COデザインセンター, 教授 (40211718)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ハームリダクション / 薬物使用 / 社会的ケア / 東アジア / 翻訳的適応 / HIV/AIDS |
研究実績の概要 |
本研究は「ハームリダクション」という薬物使用者支援を行う上で重要なアプローチの、日本を含む東アジア地域での受容、展開の可能性について検討するものである。 2019年度終盤よりCOVID-19流行により研究計画の一部変更を余儀なくされたが、そのような状況の中、2020年度は以下のような活動を行った。 前年度までに現地調査等において収集した資料に加え、2020年度は学術データベースやインターネットを活用した情報収集を行い、ドキュメント分析のためのアーカイブ形成を進めた。韓国へのフィールドワークが当面実現できない状況となったため、研究協力者との連携により韓国語で公表されている学術文献・行政文書等を収集・整理した。また、COVID-19の流行は世界の薬物使用の状況にも影響し、ハームリダクションを推進する世界各地の団体等から報告書がすでに多数発表されている。インターネットおよび遠隔通信会議への参加により、それらの情報を収集・整理し、ドキュメント・アーカイブに統合した。一方、世界における大麻規制・法制の変化が日本における薬物使用者対応の実践にも影響を及ぼし、さらには日本における法改正の動きがあることを鑑み、薬物使用についての専門家および一般の言説の変化を表す資料の収集を、主としてインターネット上の情報発信に注目して行った。 前年度より引き続き、厚生労働科研エイズ対策研究事業にてHIVと薬物使用についての研究を実施している研究班と、情報交換を行った。 成果発表の面では、2020年度は、本研究課題の成果に基づく学術論文1本、学会等における発表4本の成果があった。また、研究代表者が企画者となり、日本エイズ学会大会にてハームリダクションについてのシンポジウムを開催した。また、ハームリダクションについての書籍刊行のための計画および原稿の執筆・整理を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では2020年度は最終年度となるが、COVID-19の世界的流行の影響から、2019年度の終盤より研究の遂行にさまざまな滞りが生じた。具体的には、国内外の薬物使用者支援団体・実践家および研究者らを対象とした訪問調査が困難となった。そのため、研究計画の修正(ドキュメント分析で用いる情報・資料の収集方法と収集する情報の内容)をおこなうとともに、1年間の研究期間延長申請を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2021年5月1日現在のコロナ流行の状況からは、今年度中の国内外フィールドワークを再開する見通しは立っていない。前年度の研究計画修正では、海外研究協力者への委託部分を拡大することと、遠隔会議システムを活用した聞き取りや遠隔フィールドワークを行うことを計画したが、これを引き続き実施する。2020年度までの間に集めたデータの分析を入念に行う。また、研究成果をまとめた書籍刊行に向けて、医療における外来概念および外来語使用の問題の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19流行の影響で、当初予定の国内外フィールドワーク(研究代表者・分担者)の実施計画を見直し、1年間の研究期間延長を申請した。それに合わせて予算の使用計画にも修正・変更を行った。
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