日本における人口・家族政策をめぐる史的経緯を探り、西欧先進諸国と対置し得る学説や実践を見出した。本研究では、日本の特徴としての優生-優境主義に基づく家族主義的福祉国家の史的経緯をめぐって「戦前は世界各国で人口の量質的増強を志向する人口・家族政策が採用された」こと、「日本は1960年代の社会開発論を機に福祉の充実が進んだが、それが女性や子どもの福祉に十分なかたちで振り向けられたとはいえないことが後に“家族主義的福祉国家”などと特徴づけられることになる国際的差異を際立たせることになった」ことがわかった。
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