研究課題/領域番号 |
18K02070
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
東 優子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (60330601)
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研究分担者 |
小貫 大輔 東海大学, 教養学部, 教授 (60439669)
daSilvaLopes TiagoJose 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 細胞医療研究部, 専門職 (10903429)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | bodily integrity / autonomy / 国際比較 |
研究実績の概要 |
本研究のテーマは、人権課題であるAutonomy and bodily integrity(自律と身体のインテグリティ)である。とくに、A.トランスジェンダー改め TGD(trans and gender diverse)の人々の性別承認に係わる手術要件をめぐる国内外の動向、B. 男児性器ケアをめぐる保健指導という2つの事例を取り上げる。これら2つの事例をめぐる国内外の動向や研究・実践の潮流を把握し、施策提言につなげることを目的として、文献・資料研究、専門家への聞き取り調査、当事者の意識・態度・経験に関する量的調査を実施してきた。 本年度はとくに、A.の性別承認に係わる手術要件撤廃をめぐり、国内外で撤廃することに批判的言論活動が急速に活発化していることから、これに関する文献・資料の収集および諸外国の研究者・TGD活動家との情報・意見交換をおこなってきた。またB.については、1)保護者を対象とした量的調査の準備として、男児をもつ保護者を対象とした「日本における男児の包皮ケア」について、その入手経路や情報に基づく実践に関するインフォーマルなグループ・インタビューを実施したほか、2)FGM/C(女性性器切除)が少女・女性に対する著しい人権侵害として世界規模の撤廃運動が展開されているのに対して、医療を目的としない非自発的な男性包皮切除が国際的な人権課題として同様に扱われていない実態とその背景を明らかにし、論文化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナの影響に個人的な事情が重なり、諸外国の研究者らとの共同による量的調査を計画どおりに研究をすすめることができず、オンラインでのシンポジウムの企画運営、国内でのインフォーマルなグループ・インタビューを実施した以外は、もっぱら国内外の文献研究と論文(英語)執筆に留まった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、A.性別承認に係わる手術要件撤廃をめぐり、活発化している国内外の批判的言論を踏まえた上で、撤廃を推進する国際的な取り組みの動向をとりまとめ、国内の施策提言へとつなげていく。B.については、本年度の保護者へのインフォーマルなグループ・インタビューの成果に基づき、男児の包皮ケアに関する保護者を対象とした量的調査およびインタビュー調査を実施し、保健医療指導のありかたについての考え方をまとめ、研究の成果として発表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
量的調査およびインタビュー調査の実施を次年度に持ち越したこと、国内学会・国際学会がすべてオンライン開催になったため、旅費が発生しなかった。次年度は、2022年8月に国際学会で発表する予定である。
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