研究実績の概要 |
本研究のテーマは、人権課題であるAutonomy and bodily integrity(自律と身体のインテグリティ)である。とくに、A.トランスジェンダー改め TGD(trans and gender diverse)の人々の性別承認に係わる手術要件をめぐる国内外の動向、B. 男児性器ケアをめぐる保健指導という2つの事例を取り上げる。これら2つの事例をめぐる国内外の動向や研究・実践の潮流を把握し、施策提言につなげることを目的として、文献・資料研究、専門家への聞き取り調査、当事者の意識・態度・経験に関する量的調査を実施してきた。 最終年度、A.については、昨年度に引き続き、国際学会WPATH(World Association for Sexual Health)が策定するStandard of Care の最新版の翻訳作業を行ったほか、韓国語版の翻訳チーム代表を招聘した講演会と意見交流会(研究会)を実施した(2024年3月11日)。B.については、昨年度の成果である論文Autonomy, Bodily Integrity and Male Genital Cutting(Higashi, 2023)がきっかけとなり、韓国ソウル大学で開催された国際会議INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON BIOETHICS AND HEALTH IN ASIA(3月9日)で招聘講演をおこなった他、各国における状況の国際比較などについて研究会を実施した。なお、この国際会議のフォローアップ会議を2025年3月に日本で開催する予定である。 研究期間全体を通じた実績としては、論文、国際学会での招聘講演、口頭発表、国内学会での発表の他、NHKには2019年12月にWEB記事で取り上げられ、2024年2月には「はなしちゃお! 性と生の学問」という番組内でも研究成果が取り上げられるなど、社会的にも貢献した。
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