今年度は初年度であることから、国会(立法院)の議事録及び政府の資料並びに居宅介護労働者の実態について書かれた論文から、居宅介護労働者の労働条件がどのように、またどの程度保護されているか現状把握を行った。 1984年の労働基準法制定時の国会での議論を見ると、同法案に関する政府の説明によれば、同法の適用範囲につき他国の例にならった旨述べ、また国会議員(立法委員)からはその適用除外の範囲が広すぎる旨指摘されていたが、国会の議事録を見る限り、居宅介護労働者はまったく議論の対象になっていない。だが、1998年に至り、労基法を所管する労働者委員会(勞工委員會)は告示により、同労働者を同年4月1日から12月31日まで適用対象とした。 この点については、所管機関である労働者委員会が同法の適用対象とするか否か決定するため、国会では議論がなされていない。また、同委員会は1998年になってなぜ当該労働者を適用対象とし、わずか9か月でその適用を再び除外したのか、その議論経過を示す客観的な資料は現在のところ見つかっていない。 さらに、同労働者への労基法の再適用が難しいことから、民進党、国民党問わず、当該労働者を保護しようとする特別法の法案が何度も国会に提出されているが、いずれも内閣(行政院)で止まってしまい、廃案となっていることが明らかになった。 くわえて、労基法は適用除外となるが、雇用における性差別禁止法(性別工作平等法)等、労働立法の中には居宅介護労働者に適用されているものもあることがわかった。
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