研究課題/領域番号 |
18K02078
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研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
木戸 宜子 日本社会事業大学, 福祉マネジメント研究科, 准教授 (80386292)
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研究分担者 |
柴田 有記 (大賀有記) 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (30708748)
福山 和女 ルーテル学院大学, 総合人間学部, 名誉教授 (20257083)
小原 眞知子 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (50330791)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域を基盤としたソーシャルワーク / クリニカルインディケーター / 予防・予測的機能 / 多次元的総合モデル / 理論的予測 / 事前対応 |
研究実績の概要 |
地域を基盤としたソーシャルワークにおける予測機能を重視し、臨床的指標:クリニカルインディケーターに注目した。多次元的総合的予防の考えに基づいて、 (1)臨床的側面 (2)理論的側面 (3)組織的影響性 (4)地域課題の影響性 という予防的視点の影響性の範囲に関する4つの側面をたて仮説的分析枠組みを設定した。2019年度は、このうち(2) (3) (4)に関わる研究に取り組んだ。 (2)理論的側面として、理論的予測の可能性について検討するために、メゾレベルの対人支援理論にあたる家族療法に注目した。多世代伝達モデル、バイオサイコソーシャルモデル、システムズアプローチなどのアプローチについて検討し、状況の背景にある相互作用の予測、早期介入の可能性ならびに将来的変化可能性の予測などについて有用性を確認した。 (3)組織的影響性について、福祉施設のスーパーバイザーとともにスーパービジョン体制のもつ予測機能について検討した。まずソーシャルワーク実践形態を、日常対応、問題対応、事前対応の3つに整理した。事前対応はIndicated preventionの考え方に合致し、見守りやモニタリングをしながら危険切迫性や兆候を把握する。これをもとに福祉施設のスーパービジョン体制構築を試行した。スーパーバイザーが業務計画の確認を積極的に行うことで、切迫している危険や、問題対応にまでは至らないがスタッフが感じている業務遂行上の不安などに目を向ける利点があり、スタッフの業務遂行を保証するものと確認できた。 (4)地域課題の影響性について、クリニカルインディケーター活用の実践、研究が先行しているカナダ・モントリオールの実践者、研究者にヒアリングを行なった。地域の福祉課題、それに対応する実践、スーパービジョンについて聞いたところ、リスク低減、予測、予想、危機への備え、先見性、開拓性などのワードが浮かびあがった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画で予定していたとおり、2019年度にカナダ・モントリオールにおいて実践者、研究者にヒアリングを行い、徴候把握のためのクリニカルインディケーター、予防・予測的機能を発揮するための実践的要素、ならびに倫理的課題への対応策に結びつく、素材、視点、構成要素などを把握することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の研究成果をもとに、地域を基盤としたソーシャルワークの予防・予測的機能を発揮するための仮説枠組みを示していく。 当初の研究計画では、国内の実践者、管理職を対象にしたインタビューを実施する予定であったが、直接の訪問や面談が困難な場合には、オンライン会議などの場を使ってできるかぎり試みる。また研究者や実践者によるオンライン会議での場を設け、今般の情勢の中で求められるソーシャルワークの予防・予測的機能について討議を行い、概念化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由)研究課題に関連する実践・研究が先行しているカナダ・モントリオールの研究者を招へいする予定であったが、先方の都合により実現できなかったため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)国内の実践者にインタビューを積極的に行い、旅費等に使用する計画である。また海外研究者の招へいを模索する。
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