研究課題/領域番号 |
18K02079
|
研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
菊池 いづみ 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (00533217)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 介護者支援事業 / 介護保険制度 / 地域包括ケアシステム / 地域支援事業 / 市町村 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地域包括ケアシステム構築を目指して進められている介護保険制度改革のもとで、介護者支援はどうあるべきか、保険者として権限の増した市町村の役割に焦点をあてて、全国規模の統計的調査ならびに事例調査をもとに究明することである。 初年度にあたる2018年度は、全国の市町村1,741団体(815市区、743町、183村:2018年10月現在全数)を対象とする、郵送法による質問紙調査「介護者支援事業に関する自治体アンケート調査――地域包括ケアシステム構築に向けて」を実施した(有効回収数512票、有効回収率29.6%)。 得られたデータをもとに、①介護者支援事業の実施状況、②行政課題としての介護者支援策、③地域包括ケアシステムにかかわる事項について、自治体規模による市町村別の特徴を把握した。 介護者支援事業の実施状況については、各種事業の実施率において、全般的に都市部で高く、郡部で低いという傾向があるものの、2015年施行の改正介護保険法により地域支援事業の包括的支援事業が拡充されたことなどを背景とする、多様な事業展開が確認された。また、行政課題としての介護者支援策については、自治体規模において対照的な人口規模の最も大きな市区と小さな村とにおいて、高齢者福祉施策のなかでの介護者支援策の優先順位が高い傾向にあることが明らかになった。そして、地域包括ケアシステムの構築にあたり、自助や互助への期待が高まるなかで、介護者支援においてもボランティアの育成などの取り組みは、保険者として機能強化の図られている市町村の今後の課題であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、介護保険制度の保険者である市町村を対象とする量的・質的調査をもとにした実証研究である。このうち、2018年度の研究計画の中心である質問紙調査を予定どおり実施し、報告書をとりまとめた。 本調査の有効回収率は29.6%にとどまったものの、全国の市町村を対象とする全数調査として、介護保険制度改革のもと地域支援事業が拡充されたことによる介護者支援事業の全国的な趨勢を把握することができたものといえ、研究計画に基づく一定の成果が認められることから、おおむね順調に進んでいるものといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
2018年度に実施した質問紙調査のデータをもとに、市町村が介護者支援事業に取り組むうえでの関連要因などを分析するとともに、介護者支援の取り組みにおいて先進的、あるいは多様な事業展開のみられる市町村を抽出し、インテンシブな事例調査を実施する。 具体的には、市町村が地域包括ケアシステム構築を推進するうえでの中核的機関であり、介護者支援の相談窓口である地域包括支援センターを中心に、フォーマル/インフォーマルケアの連携と調整の機能に焦点をあてたインタビュー調査を実施するなど、当初の研究計画に沿って推進する予定である。
|