• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

<老年期の中国残留孤児>の孤独の実態と原因に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K02080
研究機関明治大学

研究代表者

鍾 家新  明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (10281552)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード中国残留孤児 / 老年期 / 孤独
研究実績の概要

<老年期の中国残留孤児>、ボランティア、関連団体の職員に対して、聴き取りなどの調査を行った。これらの調査資料に基づいて、中国残留孤児と中国人養父母や養父母家族との関係がいかに中国残留孤児の老後の孤独に影響を与えたかを軸にして、老年期の中国残留孤児の孤独に関する分析を行った。分析によって、つぎの内容が明らかにされた。
(1)日本に帰国する前の中国人養父母との関係の良否は帰国後の彼らの相互関係の良否に影響を与え、さらに中国人養父母の親戚との付き合いの深浅にまで影響を与えた。彼らの相互関係が良好の場合では、老年期の中国残留孤児は老年期の在日華僑と同様に、中国にいる親戚と頻繁に連絡をとったり、中国にもどったりする。中国にいる親戚の評価は中国残留孤児自身に対する中国社会の承認として受け止めている。これは明らかに老年期の中国残留孤児の孤独の緩和につながり、彼らの幸福感を高めている。
(2)これに対して、中国人養父母との関係が悪い場合では中国の親戚との関係も悪くなる場合が多いという傾向がみられる。そして、老年期の中国残留孤児は中国にいる親戚と連絡をしなくなった。これは、老年期の中国残留孤児の孤独を増幅させ、彼らの幸福感を軽減させている。
中国残留孤児にとって、中国人養父母や中国の親戚は中国で生活したときの重要な他者だけではなく、日本に帰国した彼らにとっても重要な他者である。このため、中国人養父母や中国の親戚との関係は老年期の中国残留孤児の孤独に影響を与えている重要な要素になっていることが証明された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在はおおむね順調に進展している。その主な理由はつぎのとおりである。
(1)聴き取り調査の対象をえることができた。また、調査対象者に信頼され、彼らの人生ドラマを語ってくれた。(2)これまでの調査研究の経験と知識を生かすことができた。

今後の研究の推進方策

今後も継続して、聴き取り調査を行い、より多くの分析資料を取得し、老年期の孤独に関する理論研究を高める。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響によって、予定した中国での調査が計画どおりに行うことができなかった。次年度では、中国での調査と資料収集に使用すると計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 中国人養父母への感謝と拒絶2020

    • 著者名/発表者名
      鍾家新
    • 雑誌名

      政経論叢

      巻: 第88巻 ページ: 57~111

  • [学会発表] 中国残留孤児の生き方とその背後2019

    • 著者名/発表者名
      鍾家新
    • 学会等名
      福祉社会学会
  • [学会発表] 中国文化と日本文化のはざまで―中国残留孤児の生きる技法2019

    • 著者名/発表者名
      鍾家新
    • 学会等名
      中国・復旦大学日本研究センター第29回国際シンポジウム

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi