本研究の目的は、高齢者ボランティアの確保と継続のマクロ的要因を調査し、ボランティアを提供するNPOなどの組織の特性を明らかにすることである。高齢期では身体や精神的な機能の低下を経験しがちであるが、老いても継続的にボランティア活動が続けられる方法や持続可能な組織づくりに寄与できると考える。 研究方法は、調査票調査を行った。全国を網羅する介護系ボランティア団体の名簿をもとにサンプリングを行い、組織の運営者やボランティアさんを束ねる役割を持つスタッフの方にアンケートに答えていただいた。組織の運営でボランティアに関わることについて質問に回答してもらい、集計、記述統計量の算出を行った。 コロナ禍もあって500人を対象にしたアンケート回答率は3割(n=155)までしかなかった。高齢者ボランティアを起用している団体のほとんどが高齢者のボランティアが足りているが、ボランティア人数の減少を感じている、と報告した。ボランティアとして採用する際は基準を設けていない、トレーニングを行わない団体が大半であった。ボランティアが障害やケガがあった場合、ボランティアへの合理的配慮はするが実際にそれを適応している事例は少ないことが分かった。 ボランティアが高齢期に入っても活動を継続するための理解はあるようだが、環境的な対応はないに等しい。高齢者もそれを分かりながら配慮を求めずに活動から去るケースが立たないことが分かった。今後、高齢者が社会参加を通して健康やいきがいが得られるように、ボランティア活動を継続できるような施策を打つ必要がある。
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