研究課題/領域番号 |
18K02091
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
中尾 賀要子 武庫川女子大学, 教育研究所, 准教授 (90584988)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 災害 / ソーシャルワーク / 社会福祉士 / 東日本大震災 / 福島 / 質的研究 |
研究実績の概要 |
本研究活動の開始以来、検討してきた東日本大震災の被災地である福島のソーシャルワーカーを対象としたインタビューの度重なる延期を受け、2021年度はとにかく何らかの形でこれまでの被災地におけるソーシャルワーク活動のふりかえりが実現できないか模索した。その経緯で、研究者が所属する武庫川女子大学臨床教育学研究科の臨床教育シンポジウムにおいて、福島の10年を総括する「災害復興と福島のソーシャルワーカー~自分たちの痛みの共有から始まった10年~」の開催が実現した(2021年11月13日)。当シンポジウムには、インタビュー対象であったソーシャルワーカーらのうち活動の中心的な役割を担ってきた3名が登壇し、約2時間にわたるオンライン講演が成功裏に終えられた。シンポジウムの準備は数ヶ月に渡り研究者も交えてオンラインで入念に行われたが、その過程はまさに対話であった。そのため、このシンポジウムは科研費事業ではないものの、事実上、本研究の目的を追求した活動と考えている。
コロナ禍の国内において、2020年以降グループインタビューの実現を模索してきたが、調査対象らは医療機関や介護施設等に勤務しており、感染拡大予防の観点から直接対面は見通しが立ちにくいままである。今後は、本シンポジウムの録画を調査実施のための視聴覚資料として用いることで、現地で活動を続けるソーシャルワーカーらの意見収集に役立てたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
理由 新型コロナウイルスの感染状況が一進一退のため、従来より計画している対話による調査の実現は厳しいままである。また、東日本大震災発生からの福島の10年をふりかえるシンポジウムの実現によって、ソーシャルワーク活動の整理は実現したが、調査報告としての文章化や、後続する調査の実施には至っていない。この状況と事情から、本研究の進捗状況は遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、研究実績で説明した視聴覚資料用いて、福島のソーシャルワーカーらの意見収集を実現したいと考えている。神戸のソーシャルワーカーと広島のソーシャルワーカーとの対話については、被災地のソーシャルワーカー同士の対話から活動における共通点や相違点のあぶり出しができればよいのだが、まずは福島のソーシャルワーカーを対象とした意見収集を優先し、災害ソーシャルワークの軌跡を記録として残したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度もインタビュー調査の実現は難しく、旅費に関する使用は見送りとなった。また、シンポジウム開催もコロナ禍発生前からの計画であったため、科研費事業としての実施は不要となり、経済的な負担は回避できた。次年度に関しては、シンポジウムの録画を用いた視聴覚資料の編集費用、さらに必要図書や文献等の購入で使用する。
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