研究課題/領域番号 |
18K02095
|
研究機関 | 福岡女学院大学 |
研究代表者 |
大迫 秀樹 福岡女学院大学, 人間関係学部, 教授 (50412474)
|
研究分担者 |
白澤 早苗 福岡女学院大学, 人間関係学部, 教授 (50389243)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 児童養護施設 / 乳児院 / 里親 / 連続性を持った心理的ケア |
研究実績の概要 |
本研究は、児童福祉施設(乳児院・児童養護施設等)及び里親養育における乳幼児期からの連続性を持った心理的ケアの必要性を踏まえて、①施設の小規模化、家庭的養護の推進を踏まえた上での乳幼児期からの連続性を持った心理的ケアのあり方の探求、②家庭と同様の環境における養育の推進を踏まえた上での里親支援(施設と里親との協働含む)、保護者支援、専門性の発揮、地域支援等の施設の役割の検討、③施設での有効な取り組み(継続実施中)の中期的な評価を行うことなどを目的としている。 本年度は、研究当初に実施したアンケート調査につき、詳細なデータ集計・分析等を進め、学会での発表等により成果を還元するとともに、実地での協力可能施設等については、実際に現地に赴き、インタビュー調査を行うこととしていた。しかしながら、本年度においても、感染症拡大の状況がなかなか改善せず、その影響を大きく受けた。 その状況下で、予定していた詳細なデータ集計、分析については、学生アルバイト雇用が感染症の影響を受けて、引き続き、やや遅れ気味とはなったものの、すべての集計作業を終え、分析も完了する事ができた。それにより、小規模化に伴うメリットやデメリット、心理的ケアを実施する上での課題などを明らかにすることができた。乳児院に関する分析内容については、学会発表を実施した。さらに、全国の協力施設、協議会に対して結果概要につき、報告書を郵送した。一方、すべてを延期していた現地での実地調査については、若干ではあるが、施設・里親に対する調査を開始することができた。ただし、当初の予定には至っていないため、研究にかかる最終年度を再度延長し、実地インタビュー調査の実施、及び施設での取り組みの評価等につなげていくこととしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究計画では、初年度には、乳児院・児童養護施設における乳幼児期からの連続性を持った心理的ケア、里親支援、里親家庭との協働等に関するアンケート調査研究を行い、次年度には、その結果に基づいて、有効な実践を行っている施設、里親等に対する実地インタビュー調査を行う。さらに、その結果を施設や里親支援等における具体的な実践につなげていく予定であった。 しかしながら、「新たな社会的養育ビジョン」を受けた大きな方針転換等の影響を受けて、初年度に予定していたアンケート調査を、時期をやや遅らせての実施となった上に、一昨年度から今年度にかけて、大規模な感染症拡大の影響により、データの集計・分析作業が大幅に遅れ、さらに、実地調査のほとんどを延期せざるを得ない状況となるなどした。そのため、当初の計画からは、特に、実地調査から得られる有効な取り組みの把握、具体的な実践の提案や検証の段階へと至る道筋が、遅れて進捗しているためである。
|
今後の研究の推進方策 |
アンケート調査にかかる集計及び分析は終了し、学会発表や協力施設への報告(概要)につなげることができた。今後は、その成果を、学術論文としてまとめて発表していく予定である。一方、当初計画していた施設の小規模化、家庭的養護の推進を踏まえた上での乳幼児期からの連続性を持った心理的ケア、家庭と同様の環境における養育の推進を踏まえた上での里親支援(施設と里親との協働含む)等に関する実地調査による質的な研究については、感染症の影響が収まる兆しが見えてきたことから、わずかながらも調査を開始することができた。今後は、当初の計画に従い、有効な取り組みの把握、具体的な実践の提案や検証等に結び付けていくことを考えている。もちろん、今後の情勢が、感染症の収束状況に左右され、不透明な部分があることから、安全性を考慮した上での計画変更等、可能な限り柔軟な対応を考慮したいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
感染症の影響等により、大部分の実地調査に関する費用(旅費等)、その他の費用を持ちこしているためである。次年度においては実地調査を行う予定としているため、それに伴う人件費、旅費、その他の費用が必要となる。また、学会大会も対面が予定されているものが少なくないので、現地に赴く費用(旅費等)が必要である。概ね、スライドして使用する予定であるが、感染症の状況を見据えて、当初の予定の費用が縮小及び、内容の見直し(例えばオンラインによる面談等)など、大幅な計画の変更が生じる可能性もある。
|