研究課題/領域番号 |
18K02097
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研究機関 | 武庫川女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
大岡 由佳 武庫川女子大学短期大学部, 心理・人間関係学科, 准教授 (10469364)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 犯罪被害者 / 教育 / 加害者 |
研究実績の概要 |
加害側への「被害者の支援を取り入れた教育」は、現在、更生保護等の加害者支援を担う者たちに委ねられており、被害当事者不在のまま進行している。研究初年度は、被害者軸による「犯罪被害者の視点を取り入れた教育」の明確化を行うことを目標に掲げていた。明確化を行うため、具体的には以下の3点について研究を進めてきた。 1.フィールドワーク:当事者団体である「犯罪被害者の会(あすの会)」「犯罪被害者の会・つなぐ会」や「少年犯罪当事者の会(WiLL)」への会合への参加・対話を通じて、被害者がどのような想いを加害者に持っているかについての定期的なフィールドワークを行った。また、犯罪被害者等のための条例策定のための各地方公共団体の懇話会に委員あるいは傍聴者として出席し、最新の被害者に絡む事項についての情報収集を行った。 2.インタビューの実施:犯罪被害者(身体犯)に、加害者について感じていること等についての、個別インタビューを行った。来年度はインタビューの数を増やすと同時に、それらの被害者感情をどのように教育媒体として伝えることがより適切であるかについて検討を進めていく。 3.被害当事者と加害者側施設との調整:「被害者の視点を取り入れた教育」プログラムを実施してもらえる加害者側施設との交渉を始めた。O市の更生保護施設から快諾を得て、その施設の意向と被害当事者の意向のすりあわせを行い、教育媒体をDVDにすることを決定した。DVD作成に当って、来年度より新たに分担研究者に参画頂き進めることにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実際の犯罪被害者等の生の声を聞くことで、本邦で取り組まなければならない「被害者の視点を取り入れた教育」のあり方が見いだされてきた。
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今後の研究の推進方策 |
フィールドワークを通じて、犯罪被害当事者らが、加害者に対しての怒りと共に、加害者にきちんと罪と向き合って欲しいと思っていることが分かった。加害者に向けての教育媒体として、被害者の生の声を伝えていく必要性について、一当事者団体において、コンセンサスが得られた。 来年度は、被害当事者らの声を最大限に取り入れたDVD教育媒体作成と、その効果の検証に着手していくことにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始初年度に、当事者らの意見を多数伺う中で、DVDという教育教材を通じて効果の検証をしていく必要が明らかとなった。そのプロジェクトに2019年の追加費用が生じたため、2018年度は残額を生じさせた。
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