2022年度は、最終年度として、「犯罪被害者の視点を取り入れた教育」を、地域で加害者支援者を含む様々な支援者に展開する枠組検証に取り組んだ。 【教育コンテンツ作成】2020年は殺人被害にあった当事者と遺族に、2021年は、性被害にあった被害者ならびに虐待にあった被害者の成人に教材出演してもらい、インタビューを動画コンテンツにしていた。2022年度は、一歩踏み込んだ、教育コンテンツの作成をすべく、少年犯罪被害の遺族、殺人被害で未解決事件の遺族、児童虐待、いじめ、近親姦にあった被害者らの二次被害や症状等に焦点をあてたグループインタビューを行い、教材化を試みた。 【効果測定】動画の教材効果の測定について、各地で開催する研修の機会で、主催者より同意が得られた機会に、それぞれの被害者の視点を伝える動画を投影し、その効果検証を図った。一部は、2021年度に国際学会、日本の学会にて報告を行った。 【教育コンテンツの活用枠組の構築】対面研修に加えて、オンライン研修により活用していくコンテンツとして、加害者関係者を含む様々な支援者に展開していく枠組構築を行った。2022年度が最終年度であったことから、それらの教育コンテンツ動画(総計9本)は、一般社団法人こころのケガを癒やすコミュニティ事業(https://www.jtraumainformed-tic.com/)の、オンライン教材の一部として、科研費研究終了後も様々な支援者に見てもらえるよう組み込むべく調整を図った。現在、そのオンライン教材事業に組み入れることができた結果、2021年度までの教材は、2023年3月末時点で794名に視聴されている。教材を視聴した支援者の職種は、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師等の受講が多く、それらの者の一部は加害者支援に携わっている者が含まれた。地域別では、東京、兵庫、大阪、神奈川、福岡の順で多かった。
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