研究課題
本研究は、ハラスメント問題に適切に対応できるソーシャルワーカー養成について調査するものであった。方法は、文献調査、質問紙調査、インタビュー調査を用いた。最終年度である2022年度は、ハラスメントに関する模擬授業(90分)の実施と、模擬授業の受講者から収集したアンケートを整理分析した。また研究機関全体を通じて行った各種調査を報告書としてまとめ、日本ソーシャルワーク教育連盟加入校(263校)に送付した。以下に2022年度の具体的成果を述べる。まず、模擬授業を23校で実施することができた。模擬授業受講者らが任意で回答したアンケートは772件であった。これらの結果から、ハラスメントについて学ぶには、ハラスメントの基本的な知識や各論、事例紹介等の後にソーシャルワーカーとしての基本的な対応技術を一コマで学ぶ内容で概ねよいということが明らかになった。また、これまでの学習歴や属性によって授業内容の理解度等に差がないことが示唆された。しかし、受講者へのインタビューができなかったこと、すでに現場で働いているソーシャルワーカーとの比較研究ではなかったこともあり、多面的な分析は叶わなかった。またこのパイロット授業の実施により、ハラスメントに関する教育の必要性について現役の教授者や受講者らに認識してもらえる副次的な効果があったと考える。なお、前年度までの報告と繰り返しになるが、新型コロナウイルス状況下において本研究班のメンバーは、教育はもとより診療や相談現場の仕事があり、関連の対応に追われながらの研究遂行であった。査読付き論文は1本に留まってしまったが(更に1本は執筆中)、本研究の意義をソーシャルワーク教育に携わる者の一部には知らしめることができたと思う。
すべて 2022
すべて 学会発表 (2件)