研究課題/領域番号 |
18K02105
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
稲葉 美由紀 九州大学, 基幹教育院, 教授 (40326476)
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研究分担者 |
杉野 寿子 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (30412373)
西垣 千春 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (40218144)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 基本的ニーズ / 社会的連帯経済 / 持続可能な開発 / エンパワーメント / コミュニティ開発 / コレクティブ・アクション |
研究実績の概要 |
研究初年度は、社会的連帯経済 (SSE)、エンパワーメント志向型コミュニティ開発(EOCD)、そして国連の持続可能な開発 (SD)について、申請者によるこれまでの研究成果と照らし合わせつつ、国内外の最新の研究の動向および理論的発展に関するレビューを中心に行った。今年度、研究補助が得られていないことと代表者の家族介護・看護の負担が増えたため予定していた研究調査活動に従事できなかったが、国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成にむけた社会的連帯経済(SSE)の役割については、国連社会開発研究所 (UNRISD)のシニア研究員(海外研究協力者)と連携しつつ、情報交換・情報収集を行なった。最近、資本主義経済のオルタナティブとして世界各地においてSSEという概念の重要性が高まっているものの、日本においてはまだその概念が広く知られていないこと、全国ネットワークが欠けていることが明らかになった。 2018年12月にはアメリカにおけるコミュニティ開発およびSSEの動向に関する資料収集を通して、コミュニティガーデン、都市型農業、農業コープ、シェアハウジング、ワーカーズコープなどが各地で展開されていることがわかった。また、2019年2月には韓国延世大学で開催された国際会議" Localization of the SDGs and the Co-Construction of the Means of Implementation"に参加し、日本におけるSSEおよびEOCDの現状とその可能性に関する口頭発表を行った。SSEの役割に関するセッションでは韓国をはじめとするアジア諸国からのSSE関連の事例発表が行われ、研究者・実務者と議論する好機を得た。また、本会議にてGlobal Social Economy Forum(GSEF) 関係者から社会連帯経済の世界的動向について貴重な情報を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では2018年10月にスペイン・ビルバオにおいて開催される第4回Global Social Economy Forum (GSEF) に参加する予定であったが、研究メンバーの日程調整が困難となり参加できなかった。そのための対応措置として、代表者が2019年2月に韓国延世大学で開催された国際会議に参加し、UNRISDシニア研究員(研究協力者)と議論および情報交換、上記のGSEF事務局長および関係者、SSE研究者・実務者と近年の動向、意見交換や関係性が築けたことは極めて重要であったと考えられる。国連の持続開発目標(SDGs)の達成に向けても、地域レベルで展開されているSSEおよびEOCDの観点からの取り組みの重要性が明らかになったと考えられる。本研究の理論的な検討をさらに深めていきつつ、日本における事例調査の対象となりうる活動や取り組みに関する情報収集、具体的な調査内容、調査対象の選定、現地訪問などをより詳細に検討していくことが必要である。初年度は代表者の介護負担が予想以上に増えたために予定していた研究調査活動に従事できなかったことや研究補助を雇用できなかったことなどのため実施が遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目とな2019年度は、初年度から始めている先行研究調査および世界で展開されているSSE, EOCD, 持続可能な開発に関する動向を引き続き進めていく。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、日本各地でいろいろな動きがあるが、特にSSEおよびEOCDの観点から調査対象の選定を進めていきたい。その上で調査に向けた準備、本格的調査に向けた先方へのコンタクト、事前訪問などをできる限り実施できるようにし、聞き取りを行うなど初年度の遅れをできるだけ取り戻したい。また、これまで重ねてきた先行研究や世界の動向についてまとめる作業も行い、論文執筆へつなげる取り組みを進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では2018年10月スペイン・ビルバオにおいて開催されるGSEF主催の国際会議へ参加予定であったが、研究メンバーの参加が叶わなかったことによる。また、研究補助者の雇用ができなかったこと、研究代表者の家族介護により研究調査に従事できなかったため。研究の進歩状況に合わせながら、2019年度の調査研究及び研究打ち合わせのための旅費、英文原稿の校閲などにあてる予定である。
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