本研究においては、後発福祉国家としての韓国におけるベーシックインカム構想に着目して、次の課題に取り組んだ。 第1に、韓国のアカデミックや政治の世界および政策現場で近年活発に展開されているベーシックインカム構想の政治経済社会的背景およびその実際の展開過程と中身を明らかにした。第2に、諸外国とくにオランダやフィンランおよび日本におけるベーシックインカム構想と比較しながら、韓国におけるベーシックインカム構想の国際比較的な特徴とその理論的・実践的意味を明らかにした。第3に以上をふまえて、後発福祉国家としての韓国におけるベーシックインカム構想の経験が、日本や西欧における先発福祉国家の行き詰まりとその打開策の模索に対して示す政策的インプリケーションを明らかにした。
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