研究課題/領域番号 |
18K02124
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
森田 久美子 立正大学, 社会福祉学部, 教授 (40308127)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 若者ケアラー / ヤングケアラー / 若者支援機関 |
研究実績の概要 |
第1に、若者ケアラーのケアの実態及び若者支援機関における若者ケアラーへの支援状況を明らかにすることを目的に、若者支援機関を対象に実施した質問紙調査のデータ分析に取り組んだ。回答のあった若者支援機関88か所のうち「若者ケアラー」等の言葉を用いて対象者を「把握している」と答えたのは10.2%、回答のあった若者支援機関の支援者125名のうち、「若者ケアラー」などの言葉を聞いたことが「ある」と答えたのは42.1%であり、「若者ケアラー」についての認識を高めることが課題の一つであると考えられた。また、若者支援機関の支援者に支援したことのある若者ケアラーの状況について回答を求めたところ、ケアをすることによって若者が受けている影響として、精神的ストレス・不安定(55.6%)、就職先が見つからない(40.3%)、身体的疲労(25.8%)が多く挙げられ、若者支援機関において支援している若者ケアラーでは、心身の健康の保持や就業に関する支援ニーズを有している者が多くいると考えられた。 第2に、若者ケアラーのニーズに対応した支援及び支援体制、それらを発展させるために用いられる支援技術を、より深く把握することを目的に、若者も含むケアラーの支援を行っている団体にインタビューを実施した。若者ケアラーを含む介護者を支援している団体では、若者ケアラーの支援ニーズとして、就労及び自身の家族を持つことが認識されていた。就労支援の手法として、就労等にあてられる時間が断続的にしかとれない介護者の状況、就労経験の乏しさやそれによる自信のなさといった若者ケアラー特有の困難の両方に対応した就労支援プログラムの開発が行われていた。また、ケアラー支援団体は若者支援機関と連携する機会が乏しく、ケアラー支援団体と若者支援団体との交流を促進することが課題となっていることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年12月~3月に、2番目の調査である、若者支援機関のインタビュー調査の実施を予定していたが、新型コロナウィルス感染症の拡大により、途中より実施を延期したため。
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今後の研究の推進方策 |
中断していた調査を再開する。7月~9月に、若者支援機関10か所程度を対象に、若者ケアラーの支援手法に関するインタビュー調査を実施する。10月~3月にデータの分析を行っていく。また、11月にオランダで開催予定であるThe 3rd International Young Carers Conferenceに参加し、ヤングケアラー及び若者ケアラーの支援に関する情報収集を行う(会議は新型コロナウィルス感染症の状況によって延期となる可能性がある)。
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次年度使用額が生じた理由 |
第2調査である、若者支援機関を対象としたインタビュー調査を新型コロナウィルス感染症の拡大にともない中断したことから、謝金や交通費等を使用できなかったため。今夏の調査で使用する予定である。
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