研究課題/領域番号 |
18K02129
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研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
後藤 真澄 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (70301710)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 看取り / グル-プホーム / 認知症 / 家族 / 終末期ケア / 看護師 |
研究実績の概要 |
目的は、認知症対応型共同生活介護(グル-プホーム)における看取りケアの促進因子と阻害因子を明らかにするためにA県、B県の質的分析をてがかりに聞き取り調査を行った。研究対象は本学周辺地域A県、B県の32市町の郵送調査に協力が得られた施設のうち、ヒヤリングに承諾を得られた21業所の代表者とした。 研究方法はインタビュー・ガイドをもとに聞き取りを行い、看護師の雇用形態別に遂語録の内容分析を行った。 調査結果は対象施設21業所のうち看取り経験ありが17施設、なしが4設、看護師配置が10施設、契約や訪問看護の導入が8施設で、看護師なしが3施設であった。遂語録の内容分析の結果は、促進因子として考えられる語句として、文字数は3,116であり、出現頻度の多い語句は「家族」、「できた、できる」「よかった・いい」であった。一方、阻害因子として考えられる語句としての文字数は、6,151であり、促進因子に比文字数が2倍と多くあった。語句としては、「~ない」の出現頻度が最も多く、次に「看取り」、「介護」、[GH]、「家族」であった。看護師配置施設では、「職員の負担-心理面」が最も多く、「GH重度化」、「退所の問題」、看取り―夜間の課題」「職員の負担-配置待遇」、「家族」などが多い。看護師契約等施設では、「GH重度化」、「家族」「看取り加算-要件」に関する語句が多い、という特徴があった。看護師なし施設では「看取りケア負担」、「職員の負担-心理面」の語句が多かった。看取りなしの施設では、看護師の雇用形態に関わらず「GH―制限」に関する語句の頻度が多く見られた。 グル-プホームの看取りに関しては、促進因子は「家族」が大きなキーワードとなっていた。今後は、家族を巻き込み、地域の中で安心して人生の最後まで生活を継続できる環境を整えることがグル-プホームならではの看取りの形である、と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
家族の看取りの評価に関して、ヒヤリングを行いたいが、コロナ感染が危惧され、なかなか承諾を得られる施設が少ないため、実行に至っていない。そのため、感染が落ち着き始めた時期を見極めて再依頼をする予定である。 本年度は、代替策として、グループホームのみならず、看護小規模多機能型の量的調査を開始し、その施設の認知症への看取りの現状を把握し、対象者数を増やし、家族へのヒヤリングできるようにしたいと考えている。 今後、地域包括ケア体制の中では、地域密着型の施設においての看取りが主流となり、これらの施設の看取りの実態を明らかにしていくこと、また家族の評価を聞くことが、この研究の主目的であり、今後も時期を考慮しつつ、調査を再開する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今日、看護小規模多機能ホームが増加しつつある。この施設は、グル-プホームになかった訪問看護が付随しているため、看取りケアに果たす役割が期待されている。グル-プホームの調査では、看護師が多いほど看取りが促進するという結果が得られていることからも看護機能が付随した看護小規模多機能型ホームの果たす役割は大きいと考える。この施設とグル-プホームとの看取りの違いを明らかにし、地域における認知症人への看取りの促進因子、疎外因子となっている要因を両施設を比較しながら進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍においてヒヤリング調査等ができずに、調査が大幅に遅れている。そのため、交通費等の費用が残っている。事態が収束して調査が可能になれば、家族へのヒヤリング調査を行うための交通費、謝礼等が必要となる。
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