コロナ禍において、生活福祉資金の特例貸付が380万件を超える申請があった。申請者の属性別の集計によると、子育て世帯の割合が高いということが明らかになり、子どもの暮らしを支えるためには、世帯全体を支援することが必要であるということが明らかとなった。 今年度の成果としては、コミュニティソーシャルワーカーが制度の狭間に陥るような個別支援を実践し、地域支援と連動させていく上で、どのようなことが実践上の課題となり、どのような研修体制が望まれるのかについて量的調査を実施した。調査対象の都道府県2箇所はともに、経年的にコミュニティソーシャルワーカー養成研修を実施しており、コミュニティソーシャルワーカーという職名で社会福祉協議会・社会福祉法人に人員を配置している。また、複数の市町村が重層的支援体制整備事業を実施しており、包括的支援体制の中でのコミュニティソーシャルワーカーの位置付けや、求められる機能について検証可能であることから調査対象地域に選定した。 また、上記の調査と併せて包括的支援体制におけるコミュニティソーシャルワークの位置付けや期待されている役割、及び実践における促進要因・阻害要因について明らかにすることを目的とし、愛知県下10ケ所の市町村において行政職員及び社会福祉協議会職員に対するインタビュー調査を実施し、分析を行った。 両調査の実施により、コミュニティソーシャルワーカーが包括的支援体制を実施する上で要となる機能を有することが明らかになるとともに、広範囲な実践への過剰な期待によってコミュニティソーシャルワーカー自身がプレッシャーを感じる実態が明らかとなった。また、コミュニティソーシャルワーカーが、個別支援から地域支援までの広範囲な実践をカバーする実践力を高めていくために、どのような研修内容が求められているかについても明らかにすることができた。
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