研究課題/領域番号 |
18K02136
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研究機関 | 神戸親和女子大学 |
研究代表者 |
戸田 典樹 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 教授 (70584465)
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研究分担者 |
田中 聡子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (30582382)
大友 信勝 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学研究科, 教授 (50085312)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 最低生活保障 / 自立論 / 普遍主義と選別主義 / ベーシックインカム / 生活保護制度 / セーフティネット / 第四次「適正化」 / 現場実践 |
研究実績の概要 |
世界を席巻するコロナ禍によって、韓国への渡航はできず、計画していた実態調査はできなかった。このため韓国在住の研究協力者である許賢淑氏から韓国における所得保障制度の見直し状況などを聞き取った。その内容は、2019年、失業者対策として18歳~34歳まで一定の所得以下の若年者に対しては「青年求職活動支援金」という手当を創設した。さらに、2020年には低所得層の失業者を対象とした「国民就業支援制度」という求職活動支援のための給付金制度が創設されているといったものである。 これは韓国における生活困窮者対策がスティグマの解消を掲げ「選別主義から普遍主義へ」の取り組みとして国民基礎生活保障法の見直しなどが実施された。このため最低生活保障を目的とする国民基礎生活保障法は、困窮課題に応じて生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助といった単給制度へと変更された。しかし、この単給化への取り組みは、平均所得に対して最低生活費の割合が1999年の40.7%から2009年32.8%、2011年30%と徐々に給付額を減額させ、目的別に減額させる改革となっていた。つまり、韓国における「選別主義から普遍主義へ」を掲げた制度改革は、包括的な生活支援を行う最低生活保障の仕組みを見直したものだと言える。 このような韓国の状況とともに、これまでの日本の状況を示した論文をまとめ、「公的扶助と自立論 最低生活保障に取り組み現場実践から」として明石書店から2021年3月31日付けで出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
世界を席巻するコロナ禍によって、韓国への渡航はできず、実態調査はできなかった。このため計画していた韓国での実態調査による政策転換が生み出す生活困窮者の状況把握は、大幅に遅れている。ただし、韓国在住の研究協力者の協力により制度見直しの状況を知ることができた。このため韓国における生活困窮者を対象とした政策動向とその評価を加え、日本の状況とともに「公的扶助と自立論 最低生活保障に取り組み現場実践から」で出版することができた。このような状況のため、本研究の状況は「やや遅れている」という段階ではないかと評価している。
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今後の研究の推進方策 |
世界を席巻するコロナ禍によって、韓国への渡航はできず、実態調査はできなかったことにより韓国での実態調査は、大幅に遅れている。ただし、韓国在住の研究協力者の協力により制度見直しの状況を知ることができた。今後は、韓国での実態調査をどのように進めていくかが課題となっている。現在の日本の状況は、複数の自治体で「蔓延防止等の措置」が取られ、海外への渡航はたいへん難しい状況である。このような状況のため、韓国の研究協力者と頻繁に連絡をとり、実態調査の可能性を探り、2021年度の取り組みを計画したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界中にコロナ過が席巻し、韓国への渡航ができない状況になっている。このため韓国での実態調査ができない状況だった。このため韓国での実態調査のための費用を使用できず、次年度使用額が生じている。2021年度は、本研究の最終年度であるので、韓国の研究協力者と協議をし、状況をみて韓国に渡航し、生活困窮者等についての実態調査を実施したいと考えている。
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