医療・介護資源に乏しい島嶼過疎地域における地域包括ケアシステムの限界と可能性を提示することは、少子高齢化の急速な進展と総人口の減少という一大転換期にあるわが国において、先駆的な意義を持つ。本研究では、互助と仲間力を活かした協働の地域づくりがヒューマン・エコシステムの開発につながることが確認できた。また、持続可能な介護サービス提供体制を目指すために、空き家を活用した地域共住拠点(集落長屋)と、その周辺施設(診療所や社会福祉協議会)と連携した居住支援サービスを組み合わせ、住み慣れた集落の中で集落住民が主体となり支え・支えられる形の地域包括ケアシステムの構築は、島嶼過疎地域の先行モデルとなり得る。
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