研究課題/領域番号 |
18K02139
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
杉山 美香 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (70415503)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 日常生活支援 / 認知機能低下 / 認知症 / MMSE-J / フォーカスグループディスカッション / 高齢者 |
研究実績の概要 |
「認知症とともに暮らせる社会」(Dementia Friendly Communities)に向けた取り組みのなかで、認知症の人の権利や希望を尊重していくことは重要である。特に、認知機能が低下し、かつ単身や高齢者のみ世帯の場合には、日常的な生活支援が必要である。本研究では、高齢者の日常生活支援ニーズとその提供方法を明らかにすることを目的とし研究を実施した。 第一に、2018年12月に東京都板橋区特定地区にて質問紙調査及び会場調査を実施した。日常生活支援ニーズチェック項目を作成し、基本属性、生活環境、世帯状況、生活機能及びソーシャルサポート等の心理・社会機能についての質問紙調査と、認知機能検査(MMSE-J)、認知症アセスメントシート(DASC-21)認知症等の医学問診などの会場面接調査(ベースライン調査)を地域在住の高齢者739名に実施した。対象者の平均年齢は79.2(±4.5)歳、平均教育年数は12.7(±2.6)年であった。日常生活支援ニーズリストの因子構造を確認したところ、「家事支援」「私的領域支援」「社会参加支援」「権利擁護支援」「受療支援」の5因子構造であることが明らかとなった。 第二に、日常生活支援を行っている組織・団体と協働しその活動内容、活動頻度などの地域資源を調査し、地域資源の状況把握を行った。第三に、認知症支援のための地域拠点で行っている日常生活支援を明らかにするため、フォーカスグループディスカッションを拠点のスタッフ保健師2名、精神保健福祉士資格を持つ理学療法士1名と研究者2名の計5名で行った(男性1名、女性4名、39歳から69歳)。テーマは「認知機能や心身の健康状態が低下している人へ拠点で行った日常的な生活支援」として約90分間実施した。結果を記録しカテゴリー化しその内容を分類した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は研究計画に掲げた日常生活支援ニーズリストの作成と、MMSE-Jなどの認知機能検査を会場調査で実施することができた。また、認知症支援のために日常生活支援を実施している拠点とも連携する事ができた。拠点との連携により、認知機能の低下があり、心身の健康状態の低下している高齢者への日常生活支援の内容を分類するためフォーカスグループディスカッションを行った。以上のことから、研究計画は進展おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度においては、2018年度に実施した調査データを分析し、認知機能低下と日常生活支援ニーズの関係性を明らかにする。また、日常生活支援ニーズと世帯状況、生活環境、認知機能低下、生活機能、心理・社会機能等の関連についてロジスティック回帰分析等を用いて背景要因を分析する。次に、高齢者(約20名)へ地域で暮らし続けていくために必要な日常生活支援内容と提供方法のインタビューを行い内容の質的検討と、高齢者及び認知機能低下者へ日常生活支援を提供できる地域資源について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度においては板橋区特定地区で行われた研究事業と協働して調査を実施したため人件費の一部負担となったため次年度使用額が生じた。2019年度は、高齢者へのインタビュー調査を予定しており、調査員の雇用や調査謝礼品の購入、言語データーの逐語化にかかる費用等に支出する予定である。
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