研究課題/領域番号 |
18K02139
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
杉山 美香 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (70415503)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 認知症 / 認知機能低下 / 日常生活支援 / 支援ニーズ / 世帯 |
研究実績の概要 |
認知機能が低下した高齢者は、公的な介護保険サービスを利用する以前から、日常の生活支援が必要となることが多い。その内容は、家事に関すること、書類等の作成、社会参加に関すること、受療や権利擁護などがあるが、ちょっとした手助けがあれば生活が安心して継続できることも多い。本研究では、高齢者の日常生活支援ニーズとその提供方法を明らかにすることを目的とし研究を実施した。 第一に、東京都板橋区特定地区にて高島平スタディによる大規模疫学調査の結果から作成した日常生活支援ニーズリストの「家事支援」「私的領域支援」「社会参加支援」「権利擁護支援」「受療支援」の各領域において、本人が自覚するニーズと世帯状況の違いと認知機能低下の関連について検討を行った。 結果、認知機能に主効果が認められ,すべての領域で,認知機能が低下するほど日常生活支援ニーズは高くなった.認知機能で層別化して,各層で世帯状況が日常生活支援ニーズに及ぼす影響を検討したところ,健常群では,世帯状況が及ぼす効果が,日常生活支援ニーズの領域によって異なったが,認知機能低下群・疑い群では,世帯状況に関わらず,広範な領域に高い日常生活支援ニーズが認められた.認知機能低下群・疑い群では,世帯状況によらず,包括的な日常生活支援を提供することが可能とする支援体制づくりが必要であることが明らかとなった。 第二に、大規模疫学調査からMMSE-Jが23点以下の対象を3年間フォローアップした198名を対象に、2019年11月から2020年2月に精神科医及び心理士が訪問調査を行い89名(44.9%)に調査が実施された。調査内容は録音によるインタビューを行い、どのような生活上の支援があれば生活しやすいかなどについて訊ねた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は研究計画に掲げた日常生活支援ニーズリストの作成と、MMSE-Jなどの認知機能検査を会場調査で実施することができた。また、日常生活支援を実施している拠点とも連携して、認知機能の低下があり、心身の健康状態の低下している高齢者への日常生活支援の内容を分類するためフォーカスグループディスカッションを行った。 2019年度は研究計画に掲げた日常生活支援ニーズリスト各領域と認知機能低下、世帯状況の違い等について分析を行った。また、フォローアップ調査により認知機能の低下があり、心身の健康状態の低下している高齢者への日常生活支援の在り方についてのインタビューを実施することができた。以上のことから、研究計画は進展おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度においては、新型コロナウィルス感染症予防対策のため当初予定した会場調査が難しいことも予想される。自粛生活継続下の高齢者の日常生活の変化に着目した郵送調査等を計画する。また、2018年度に実施した調査データを再分析し、2019年度に実施したインタビュー調査の内容の質的分析を行い認知機能低下者の日常生活支援ニーズについて明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度については、研究代表者が中心となってインタビュー調査実施したため、研究費の支出が年度計画より少ない結果となった。研究計画では2020年度にはフォローアップ調査を会場型で実施予定であり(新型コロナウィルス感染症に関連して調査方法は検討)前年度分と合わせて使用予定である。
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